GDPの成長だけで生活水準は向上しない
英国の国民投票によるEUからの離脱が決定したり、トランプ大統領が誕生したりと、昨年から政治的リスクが高まって世界的に不透明要因が増している。本来なら2000年までとそれ以後の世界経済は分けて考えるべきなのに、欧米の主流派経済学者たちは一直線上で捉えたがる。それが見通しを誤らせている理由だ。
中国は01年にWTOに加盟し、12.7億もの人口が資本主義社会に取り込まれた。新たに取り込まれたのは、教育水準が高く人件費が安い国の人々である。
これは先進国に2つのマイナスの影響を与えた。1つは、中間層の雇用が奪われたこと。もう1つは、中国経済の成長に伴うエネルギー価格の高騰だ。生活コストが上昇して実質所得が減ったことで、先進国の国民は生活に豊かさを感じられなくなったのである。
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