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「RCEPについて」(真田幸光)

真田幸光氏の経済、東アジア情報
「RCEPについて」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)
 
先般、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の21回目交渉官会合がインドネシアの古都・ジョクジャカルタで開催されました。

まだ、協議が進んでいるとは言え、米国の離脱により先行き不透明となっているTPPの交渉を横睨みしながら、中国本土や韓国が高い関心を持っていると思われるこのRCEPの交渉の進展具合は気に掛かります。

そして、TTPにもRCEPにも関与する日本の動きは注目されると思います。

今回のRCEPの会合では、参加国はRCEP妥結に向け、迅速な進展が必要な商品・サービス・投資などの市場アプローチや原産地分野などについて協議しました。

そして、上述した、そしてTPPには加盟していない韓国政府などは、TPPに先行してこのRCEPが効果的に始動していくように、
「韓国政府は国益を最大化するが、その一方、合理的な折衷案を模索し、交渉を速やかに妥結させる計画である」
と果敢な交渉を展開したようです。

さて、そもそもこのRCEPの交渉は2013年から始まっており、関税引き下げや投資などの分野で自由化のルール作りを協議しているものであります。

この交渉には、日本や中国本土、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加していることはご高承の通りであります。

RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)は日本では「東アジア地域包括的経済連携」と呼ばれ、上述した16カ国が参加する広域的な自由貿易協定のことで、「メガFTA」などとも呼ばれています。

RCEPが本格的に実現すれば世界の人口の約半分、世界のGDPの約3割、世界の貿易総額の約3割を占める広域経済圏が実現することになる為、米国や欧州も大いに関心を払っています。

そして、何よりも、
「世界的な影響力を拡大する中国本土が、リーダーシップを取り、東南アジアや韓国をも巻き込みながら、アジアでの基盤を固め、中東やアフリカに更に食い込む契機とするのではないか?」
との見方もあり、拡大する中国本土を念頭に注目される国際連携の動きともなっています。
 
今後も注視したいと思います。


真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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