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【年商10・30・50億の壁を突破する方法 全4回】-③ 「年商30億を突破させる方法」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (32)

【会社の成長軌道 年商10・30・50億の壁を突破する方法 全4回】
第3回目「年商30億を突破させる方法」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■30億までの成長軌道

業種、業態、企業特性により、違いはあるが、企業の規模別で捉えると以下のようになる。

■会社の成長軌道

安定期を迎えると、企業は3つのパターンに成長軌道が分かれ、30億を狙う企業は膨張成長の壁との戦いでもある。

膨張成長期では、経営者のパワーを中心に多面的展開(営業所・店舗等) で30億企業になるが、中身が伴わない。経営者にはバイタリティーがあるし、リーダーシップもある。更なる上のステップを目指す思いがあり、叱咤激励する。

しかし笛は吹くけど、現実的にうまくいかないことが多い。個人商店の体質をなくし、組織運営にギアチェンジをしないといけない。

この段階で重要なポイントは、いかに組織運営に移行できるかがポイントなる。 多くの会社が組織運営に移行しようとするが、創業から共に頑張ってきた幹部が組織運営、公開経営等の運営方法の変化に対応できないことが多くなり、会社内にギャップ現象が多発する。

今まで、経験したことがないテーマへのチャレンジが増えるので、素直に対応することが求められるわけである。

■30億未満企業の特徴

売上高30億を突破するためには、いかに組織運営に移行できるかがポイントなる。権限委譲・公私混同の是正、公開経営ができない性格の経営者にこの規模へのチャレンジはお勧めしない。

反面、組織運営に移行しようとするが、創業以来共に頑張ってきた幹部が権限委譲、公私混同の是正、公開経営等の運営方法の変化に対応できないことが多く、会社内にギャップ現象が多発する。

最も変わらなければならないのは経営者の意識である。過去のしがらみを断ち切り、新たに会社を創り上げる覚悟がないといけない。

① 経営スタイルは多面的展開経営でエリア・事業部拡大に伴い、企業規模拡大が起こる
② 核になる人財候補はいるが、人を動かす方策がなく、寄せ集め集団なのでバラバラ状態である
③ 急増する寄集め集団を動かすことに対応しようとするが、戦術機能を司るマネージメント体制が無いためにうまく回らない
④ 企業風土も今までの良さが忘れられ、おかしくなる
⑤ マーケテイング機能がなく、主力商品の拡充展開・新商品開発が弱く、既存顧客に合わせた商品構成になっている
⑥ 小規模時代からの顧客、規模拡大直近の顧客が入り混じり、顧客層の性質の違いから非効率が目立つようになる
⑦ 財務の特徴は内部留保が少なく、ここぞというときの設備投資に難がある

■組織の特徴

指揮官(社長)がいて、戦車部隊(営業機能)と武器づくり部隊(製造機能)があり、兵糧米づくり部隊(財務機能)があれば戦闘はできる。この組織形態で年商30億までの基本形。しかし前線が30億を超え拡大すれば、基本機能のみから第1弾専任化機能が必要になる。
それは、①役員会(経営部門)、②物流機能、③仕入調達機能、④人事機能、である。

前線拡大に伴い、各前線での指揮官は必要になるし、戦車部隊(営業機能)が兼任で物流機能をやっていても効率が悪くなり戦えなくなる。だから歩兵部隊(物流機能)が専任で必要になる。

■年商30億円の規模を突破できない企業でよく発生する問題点

① ライン機能だけでは組織の効率が悪くなり、スタッフが必要となる
② 業務の細分化・専門化がすすみ、全体調整のマネージメント機能が求められる
③ 経営役員の存在が希薄で全社的観点での視点が脆弱で、部門間の協調性がなく、組織力を発揮できない
④ ミス、ロスや基本動作の乱れが発生した場合、被害の規模も大きくなり、致命傷的な打撃を被ることもある
⑤ 上層部に報告癖がなく、経営者は全体を把握しきれずに問題が顕在化して初めて経営者が知るケースが増える
⑥ 経営者と役員間・部門長間・社員間、各部門間の縦・横の風通しが悪く、不平・不満、改善案が経営者まで届かない。
⑦ ベテラン・中堅・若手社員層ができるが、全員が共有する目標がないと人間動物園化状態になり、組織としてまとまらない。

■30億の壁を突破できない企業の実例

《1.【要人材が会社の成長に追いつけない人材空洞化現象】の事例B社》
(1)会社概要
① 昭和60年に現社長が創業され、年商は15億、21億、29億と急成長し、企業規模も5事業部・6営業所体制となった建設業である。
② 従業員30人ぐらいまでは社長がまとめていたが、異能事業部、事業所が多くなり、社員に任せる組織運営がうまくいかなかった。
③ 急激な企業規模拡大で寄集め集団のバラバラ状態で起こる問題点で苦しんでいた。

《2.突破できずに苦しんでいた状況》   ( )数値は全国平均
・経営方針に関し、明確とする社員が26.4%(34%)と少ない
・社内の規律に関し、よく守られているとする社員が56%(74%)、守られていないとする社員が44.4%(26%)と多い

経営は規模との戦いでもあるが、急拡大の会社成長に人・システムの成長が追いついていないのが、現状であった。
典型的な業容急拡大の寄集め集団のバラバラ状態である。組織を動かすためにルール・基準づくりにできる範疇で対応しようとするが、進まない。ルール・基準づくりの形は作っても、戦術機能を司るマネージャーが現場の仕事に追われ、うまく回らない。
つまり、人の成長スピードが会社の成長スピードに圧倒的についていけない典型的な状態であった。

・組織や命令系統は乱れているとする社員が43.%(26%)と多い
・ノルマは過大であるとする意識が高い48%(19%)
・計画の変更が多いとする社員が多い54%(35%)
・監督者階層が不足しているとする社員が70%(16%)と高い
上記のような現象は、トップ方針を現場に落す機能がないために起こる現象である。

この事例B社は何も手を打たなかったわけではない。それなりにルールづくりに取り組んではいた。しかし、社長方針を現場に落す作業を「機能をつくること」で対応するのではなく、「個人に頼ったやり方」で行ったためにうまくいかなかった。

事業が急速に伸び、増えたため、専門知識・技術を教える機会が少なく、人材育成がままならず、退職者が多いすると社員が69%と非常に多い。

組織運営のギアチェンジは「機能をつくる」ことであり、この機能を動かす人をつくることが人財育成である。つまり、「足し算型経営」から『掛け算型経営」の組織運営ができる人財・システムが必要になる。

■30億の壁を突破する方法

30億の壁を突破できない企業の実例

◆経営態のスタイル
① 社長一人の力に限界を感じ、組織運営への移行を進める
② 中期ビジョン、単年度計画、3ヶ月計画を具体的に策定実行する
③ 諸規定、業務マニュアルの整備など組織運営のシステム整備
④ 会社そのものが創業の精神に立ち返り、再活力を取り戻す
⑤ 同族経営の甘えを排除していく
⑥ 少数人財・多数人材・少数人罪の組織には管理運営力強化
⑦ 多面的展開に力を入れ、ステップアップする
⑧ 戦術機能を司るマネージメント体制を確立する

◆経営技術
① 組織機能細分化にともなう業務分担と責任体制を整備する
② 日常業務のルールと基準化を進める
③ 部門別・ライン別・担当別等の原単位での業績管理導入
④ 原価管理制度を導入し、採算対策を打つシステムが必要
⑤ 計数判断で現場業務を動かすシステムを導入する
⑥ 経営者の価値観をわかりやすく伝達・理解・浸透させる方法が必要
⑦ 3ヶ月単位の経営方針書を作成し、C&C体制を敷く
⑧ 会議・ミーテイング体系を整備する

◆人財
① 全社を調整・統括する実力経営役員(経営者の分身)が必要
② 管理部門を強化する(外部人材の登用)
③ スぺシャリストの育成
④ 会社そのものが創業の精神に立ち返り、再活力を取り戻す
⑤ 決まったことを守らせる要人財が必要
⑥ 業績に連動した年収システムが必要
⑦ 経営計数で判断できる人財の育成
⑧ 人財育成システムを構築する

◆商品・顧客
① 仕事の請け方に企業としての自主性を高める
② シェアアップ段階になり、トップライバルとの競争に入る
③ ターゲットを明確にし、技術開発に資金、人材を投入する
④ 商品のプロダクトミックスで利益を上げる
⑤ 業績検討3ヶ月、商材検討6ヶ月先行の業績検討を行う
⑥ 勝ちパターンに基づき狙えるエリア・重点顧客に展開を広げる
⑦ 3層営業、エンジニア営業に力を入れる
⑧ 川上・川下戦略を検討する

◆財務・経理
① 予算統制を行い、利益計画を立てる
② 原価計算システムを導入する
③ 期間業績力を向上させる
④ 経営者を資金繰りに走らせず、管理責任者が行う
⑤ 拠点監査等のチェックシステムを導入する
⑥ 資金繰り検討に役員・部門長が参画し、現場に具体策を落とし込む
⑦ 新規取引等に際し、与信管理を徹底させる
⑧ 財務の効率化をテーマとして取り組む

自分の会社は「30億を突破したい」と夢、ビジョンがあることだろう。しかし反面、「うちの会社は25億で十分である」も一つの考えである。

要は、「経営者御自身のキャラクターに合う『身の丈に合った経営態』」を創るのが1番大切なことである。

自分の、会社の身の丈に合ったやり方を考え、実践し、そして結果として、30億を超えることを考えねばならない。【身の丈合わずの経営】は会社を崩壊させる。

売上30億突破のポイントは公開経営から計画経営への移行と全く新しい会社を創り上げる事へ脱皮することです。是非、身の丈に合ったやり方で30億突破をチャレンジしてみてはどうだろう?

 

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筆者 小池浩二氏が【30億までの成長軌道】を動画で説明しています。
こちらからどうぞ  → http://bit.ly/2niofeK

また、【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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