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「平成最後の新入社員禅寺合宿研修会を終えて、最近の若者の傾向と動向について」(谷口碩志)

谷口碩志の「会社は人から」第50回
「平成最後の新入社員禅寺合宿研修会を終えて、最近の若者の傾向と動向について」

谷口碩志氏 (クリエイトマネジメント協会代表取締役)

新入社員対象に春の時期に40余年に亘り、禅の精神を取り入れた合宿研修会を開催致しております。                       

今回、元号の改元を控え、新入社員の派遣企業先から、また一般企業様から、最近の若者の動向について、また昨今の世相での厳しい合宿形式での研修についての派遣状況と若者の研修に対する思い等も含め、多数のお問合わせをいただきました。

ここに40余年と春の時期に開催致しております恒例の新入社員合宿研修の運営から、最近の若者の傾向としてまとめてみました。

さて、今年も3月後半から4月初旬に恒例の新入社員合宿研修会を開催し、一社単独研修を残して、約350名余様のご派遣をいただきまして無事終了いたしました。

40余年と新入社員と寝食を共にしまして想うことは、いつの時代においても、人間の心はそう多くは違わないということです。

皆様方もよくご存知のお話ですが、約5000年前のシュメール文明の遺跡から発掘された文字に、最近の若者はなっていないと愚痴をこぼしている言葉や、古代ギリシャの哲学者が最近の若者は目上を敬わず、法律は守らないし、親に逆らう等の言葉が残されているようです。

日本の平安中期の清少納言も、最近の若者について、「いとにくきもの」としてあまりにも言葉が乱れていることに嘆いています。

この間も電車の中で20代の中ごろの女性数人が、最近の若い子は何を考えているのか分からないね、と談笑しているのをきいて、思わず苦笑してしまいました。

そのように最近の若者論として片付けてしまいますと身も蓋もありませんが、40余年と若者と共にして思うことは、少し皆様方とは見解が異とするかも知れませんが、われわれの教育の指導のウェイトが高くはなりますが、二昔前よりは最近の若者は 納得すれば理解度やヤル気は、高いように思います。

つまり、人間としての本質的な資質は決して低くはなっていません。確かに二昔前は例え話として、「右向け右」と言いますと、反抗しながらも右を向きました。つまり、俗に言うヤンチャな人間味のある若者が多数いました。

今は「右向け、右」と言いましても、右を向きません。ある意味では当然のことですが、納得しないと右を向きません。賢くなったのか、可愛げがなくなったのか。素直でなくなったのか。しかし一応右を向きますが、決して右を向いていません。適当に如才なくフリをしています。様子を見ています。

この若者の内在した複雑な心理状態を今後、会社側が、上司がどのように本質を見極め、企業における「無限の可能性を秘めた若者のヤルキ」を導き出すのかが、今後の企業成長発展の要のように思われます。

最近の若者は、確かに過保護に育てられてはいます。昔のように沢山の兄弟に囲まれて逞しく成長していません。家族構成としては子供が一人~二人の時代です。甘やかさせて育ててきたということは言えますが、ご両親が、お子様にできる、できないは別にして、相当の教育をなしてきています。

そのような無限の能力を秘めた人財を「最近の若者は」と十把ひとからげにしないで、それぞれの個性豊かな内在する能力をいかに導き出してあげるかが 再度、ダブリますが大きな課題のように思います。

そのためには自律した本人の能力の発揮が当然一番重要ですが、その前段階として 上司の力量に負うところがますます重要になってくる時代のように思います。フリを巧みに演じる、ある意味では、人生に冷めた現代の若者を、いかに人生100年時代に、どのように正面切って目標を持ち 人生にチャレンジさせるかが大切であると思われます。

では上司はどうあるべきか、となると、このAI時代のある面では心の通わない索莫とした世の中に対して「人間愛」が必要に思われます。この厳しい明日も分からない時代にそんな悠長なことをと思われるかもしれませんが、「急がば回れ」の諺の如く、この心の不毛時代だからこそ「人間愛」が大切なように 40余年若者と寝食を共にして思います。

今回、最近の若者の傾向は、とのお問合わせでしたが、われわれトレーナーの研修中に 「愛ある対応」から察するところ、川が流れるように、人の心も時代の流れと共にありますが、本質的なところは太古から言い続けられた若者論のように変わらないというところが結論になるのではないかと思います。

二昔前との相違点は、再度述べますが、昨今叫ばれているダイバーシティとして、個々人の持つ能力を個々人のレベルに応じていかに力を引き出してあげるが求められることになります。大変面倒といっては言い過ぎですが、いかに引き出してあげて、ヤルキを高めて挙げるかが、大切になってきたということになると思います。

(例:最近のスポーツ界においても、またあらゆる世界においても、10代の若者の活躍が関係者の指導により大変活躍をしている事実です。)

いつの時代も変わりませんが、上司に対して、尊敬して信頼すれば、二昔前のようにお金のためにという思いで、少々のことは目をつむって頑張った時代はありましたが、今は物質的には満ち足りた時代です。意気に感じ、納得してやりがいがないと本当の力は発揮できません。

ある意味では古今東西大きくは変わっていないと言えますが、最近の若者論について述べてみました。

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清話会 谷口碩志 (たにぐち みつゆき)
昭和18年5月大阪市生まれ。昭和42年関西学院大学卒業後、3年間の商社勤めから経営コンサルタント会社へ転身。約9年間在籍、その間海外の企業実態調査のため欧米・中南米・アフリカ・共産圏・東南 •アジア諸国など40数回の渡航歴を数える。昭和53年、経営コンサル会社を創設、代表取締役に就任。

・クリエイトマネジメント協会 http://www.cmajapan.co.jp/ 

・谷口社長のブログはこちら http://blog.livedoor.jp/senba206/