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「新型コロナウイルスとWHOそして中国本土の関係について」(真田幸光)

真田幸光氏の経済、東アジア情報
「新型コロナウイルスとWHOそして中国本土の関係について」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

 新型コロナウイルスの影響が広がっており、なかなか、収束の道に入りません。
しかし、
「致死率は低い」
と言うことを背景に比較的、
「過剰反応は控えるべき」
との声も強いようです。

一方で、
「症状の出ていない所謂潜伏期間中の人から人への感染が認められる中、拡散のスピードが早い」
と言うことに加えて、
「新型コロナウイルス自体が成長し、強くなってきており、今後、致死率を高める危険性も出てきた」
との指摘も出てきており、新型コロナウイルスの影響をやはり楽観視してはならないとの声がじわじわと強まっています。

こうした中、気にかかることは、論理的、科学的であり客観性が高く、かつ中立的な組織であるべきであると言われる国際機関の中で、本件に関連する国際機関たる世界保健機関=WHOの判断に、水面下では、疑義が持たれていることであります。

例えば、この中国本土で発生した新型コロナウイルスによる肺炎について、世界的にも有名なフランス紙ルモンドは、
「中国本土政府がWHOに対し、緊急事態宣言を出さないよう圧力をかけた」
と報じています。

WHOは1月の22、23日の緊急委員会で、
「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」
の宣言を行うかどうかを議論したが、同紙によると、日米中仏などの委員や顧問の計21人に加え、オブザーバーとして中国本土など
の大使が会合に招かれたと見られる場で、中国本土代表が、
「宣言は問題外」
と強く主張したと言う観測記事を示しています。

緊急事態が宣言されると検疫強化や渡航制限などの措置が取られ、経済的な影響が大きいことから、中国本土の強い反対が出た、これに対する政治的配慮が科学論議に勝ったようであるとの記事を掲載しています。

また、これに加えて、一部では、
「以前から指摘されていたが、WHOと中国本土の癒着がある。
そして、新型コロナウイルスの流行は世界中に急速に広がるもののWHOは緊急事態宣言する事さえ一次押さえた。
中国共産党が陳馮富珍を局長に選出して以来、中国共産党はWHOと言う組織を管理してきており、現在のテドロス局長は、元エチオピア外相で、その中国共産党と深い友情関係にあるとまで言われている人物である」
との見方も出てきているのであります。

更に、新型コロナウイルスの影響はなかなか収まらず、その新型肺炎は正式な名称がないまま巷では「武漢肺炎」と称されるまでに至り、中国本土にも焦りが見えるようになってきているのではないかとの声も聞かれています。

そして、中国本土の習近平国家主席は事態の収束がなかなかつかぬ中、WHOとの国際的な癒着が表沙汰になる危険性も意識して、No2である李首相を武漢に送り込み陣頭指揮を執らせ、万一、収束に失敗した場合には、トカゲの尻尾切りのように李首相に責任を取らせるのではないかとの見方すら出てきています。

新型コロナウイルスの影響は、健康衛生面の点に留まらず、中国本土や国際機関であるWHOのあり方にも拡大する可能性がありそうです。

引き続き注視したいと思います。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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