真田幸光氏の経済、東アジア情報
「弱者を生かすセーフティーネット構築を」
真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)
私は日本の経済に関する状況について、大いに危惧しています。
このままでは、
「日本の弱者の個人は疲弊し、弱者の中小企業も破綻する」
という可能性があるものと危惧しています。
人間の社会は、
「信頼、信用」
から成り立っていますが、その信頼、信用が崩れる中、
「疑心暗鬼が、ものやサービスの流れにブレーキをかけ、資金の流れも鈍化する、結果、景気が悪化するのは必然である」
と私は考えています。
従って、こうした状況下では、
「弱者は疲弊、破綻する危険性が高まる」
と考えているのです。
真田の家のモットーは、
「死ぬまで生きよ!!」
生に固執し、死んではならないというものですが、正に、今私たちは、
「何としても生き延びる!!」
という覚悟を以って生き抜かなくてはなりません。
しかし、民間のなすべきことには限界もあり、今、その限界に近付いているものと思います。
だからこそ、今は、とにかく、官が、
「セーフティーネット」
を構築し、弱者を死なないようにしなくてはなりません。
そこで、真田が考える具体的なセーフティーネットは、以下の通りです。
以下は、本来は、
「禁じ手」
です。
しかし、上述したような状況下では、特に、悪化のスビートが予想外に早くなる危険性がある中では、賛否両論があっても、とにかく、実行し、資金を市中に流して、日本全体が、
「生き抜く覚悟」
を以って頑張らなくてはならないと私は考えています。
1. 弱者の庶民の救済方法
赤ちゃんも含めて、一人一律10万円、使用期間3カ月、転売禁止の商品券を住民票に基づいて財務省から、書留郵便を使って直接個人(未成年者、禁治産者等は、法律に基づき、保護を行う義務のある保護者)に配布する。
今は、とにかく庶民を救済する一方、資金を市中で流してもらうことが大切であり、預金に回されてしまう可能性を排除することから、現金給付はあり得ない。使用期間も早期に資金を回すべく3カ月とする。また、地域限定商品券とはせず、日本国領土内では、何処でも使用できるようにする。
政府は日本の人口に相当する約12兆5,000億円を準備する。資金は、優先順位を考えて、国家予算を組替え、なるべく既存の国家予算枠で捻出すると共に、こうした状況下であるので、赤字国債を発行する事とする。現状では、世界が皆、同様の状況にあるので、日本の財政が悪化しても、国際社会から日本だけが叩かれる可能性は低いと考える。
或いは、
もし配布作業する行政側に余裕があるのであれば、例えば、税務申告に於いて年間課税所得が300万円以下(この水準の決定は、深刻な状況にある世帯を第三者の客観的判断ができる人たちを委員に選任して、政府が決定する)の世帯が抽出できることを前提に、その世帯に対して、1人10万円X世帯人数を現金支給する。
こうした世帯は、緊急を要していると思われるので、商品券発行の時間も短縮すべく、現金支給とする。
2. 中小企業の救済方法
事態はかなり深刻になっている。従って、日本全国各地の中小企業の、メガバンク、地方金融機関のメインバンクが、与信の正常先から、今回の新型コロナウイルス事件を背景とした資金繰り悪化を背景とした資金融資の依頼を受けた場合は、無条件で、その正常与信先の月商の三か月分を先ずは上限として無利子、無担保で融資に応じ、新型コロナウイルスの終息宣言が出た後、六カ月間は、融資の継続に応じる、
そして、金融機関のバックファイナンスは、日銀が当該金融機関の請求に応じて行う。その際には、日銀が借入人に代わって、金融機関に対して、融資額の例えば年率1%の手数料(手数料水準については、国、日銀そして金融機関相互の納得のいく水準で決定する。)を支払う。
日銀はETFなどによって、金融市場を支える資金をむしろこうした「生きた資金」に回して貢献することこそが、効果があると考える。そして、そうして実体経済が回復していけば、自ずと、金融市場も安定化し、値を回復してくるはずである。
いずれにしても、事態はかなり深刻かと思います。
真田幸光————————————————————
1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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