日本酒の全出荷量は昭和48年をピークに毎年減少しており、国内での消費量は右肩下がりだが、海外への出荷量は毎年増えているなど、海外では年々評価が高まっている。
海外で火がついた理由は日本食ブームからと言われている。過去にも輸出は行われていたが、当時は品質管理が行き届いておらず、イメージが悪かったらしい。
近年ではそれらが払拭され、その華やかな香りや、複雑な旨味が絡み合う質の良い日本酒が人気を博していると言う。
清話会ではその日本が誇るべき酒文化を、より知ってもらいつつ楽しんで頂こうという趣旨で、新春特別例会を開催した。フリーアナウンサーのあおい有紀氏によって選定された日本酒は、氏が監修を務める都内の高級食品店にて実際に販売されている銘柄だ。あおい氏は酒サムライの叙任を受け、きき酒師の資格を持つ、和酒や日本食の魅力を伝える伝道師だ。
当日用意された日本酒は8銘柄。まずは乾杯で用意されたスパークリングの「七賢 山の霞」は、濁りを霞に見立てた爽やかな甘さが特徴的な、とてもフルーティな一本。こちらは女性に好まれそうだ。続いて試したのは純米大吟醸の「梵・日本の翼」。政府専用機に採用されていて、海外でも多数受賞している伝統的な味の一本。クセの少ないスッキリとした味わいは、決して料理の邪魔をせず上品な雰囲気が漂う食中酒におすすめの一本だ。
さらに楽しませてくれたのは、純米大吟醸「百黙」。大手である菊正宗酒造の130年ぶりの新ブランドとなるこの酒は、日本酒だけではカバーしきれない食の多様化に対応するために作られた老舗の本気が伺える一本。甘めではあるがくどさは無く、スルスルを入っていき口の中に豊かな余韻を残す感じはとても心地良い。これは是非とも諸兄に試して頂きたい銘柄だ。
また、とても特徴的だったのが純米大吟醸「満寿泉 MASUIZUMI R」だ。これはシャンパン酵母によって醸された品で、見識の浅い筆者からはまるで、本格的なワインとしか思えないような味わいであった。
その他にもここには描ききる事ができないほど、色とりどりの味わいをもたらす日本酒の奥深さに、参加者たちは感嘆されていた。