【一歩進んだコミュニケーションをとるスキル 全4回】
第4回「できるリーダーは仕事の任せ方がうまい」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■ 仕事を任せる
できるリーダーになるためには,仕事はメンバーに任せてやらせることが必要です。いまの仕事をメンバーが担当してくれれば、リーダーは「新たな仕事」「一段上の仕事」に時間とエネルギーを費やすことができます。
できるリーダーは、部下に以下の3つのことを教えています。
◆教え1 集団の規範
挨拶、言葉遣い、態度、職場の規律など、社会人としてどう振る舞うべきかの手本を示すこと。しつけであり、比較的短期間で身に着けさせます。
◆教え2 仕事のやり方
しつけとは異なり、すぐに身に着くものではありません。順を追って課題を与え、ある程度の時間をかけて少しずつ「できること」のレベルを上げていきます。
◆教え3 仕事の意味を語ること
この仕事は会社の中で、どのように位置づけられるのか。それを担当するメンバーは、会社の中でどのような役割を果たしているのか。そして、この会社で働くことで、お客様や社会に対してどのような嬉しさや楽しみを提供しているのか。自分の体験を語ることが大切です。
■ メンバーを動かすのはリーダーの力量
メンバーがやれることを、メンバーに任せずに上司が自ら手がけてしまうようではリーダーとしては失格です。
できるリーダーは、「自分が今より一段上の仕事をするには、どの仕事を誰に任せればよいだろうか」と考えます。逆にできないリーダーは、「他の人間に任せるくらいなら、自分でやったほうがよっぽど早い」と、まるで反対の考え方をします。
しかし、その割にはいつも目先の仕事に追いかけられ、思ったほどには仕事が片付かないというのが実態です。これでは、いつまでたっても忙しさは解消されず、本質的な問題解決はできません。
忙しさにちょっと目をつぶり、あえてメンバーの指導・育成に時間を割く。やや遠回りのようでも,結果的にはメンバーにある程度の仕事は安心して任せることで生産性の低いリーダーの仕事は減っていくのです。
■ 納得しなければ、人は動かない事を理解せよ
仕事を任せる場合は、「なぜ任せるのか」を相手によく理解させる必要があります。こちらの考え方を理解し、その意図を受け入れて、同じ気持ちを持つことです。それには、リーダーとしての説得力が求められます。
任せたい仕事を示し、なぜそうするのかの理由を説明する。任せる仕事内容を詳しく説明し、どこまでの範囲をやってもらうのかをはっきり示す。任せるだけの能力を持っていることを理解させ、相手に実行を促すのです。
■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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