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【社長の心 全4回】-③「社長も嘆きたくもなるよ」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (54)
【社長の心 全4回】
第3回目「社長も嘆きたくもなるよ」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■願望という名の現実

このぐらいは当然やっているだろう、理解しているだろうとすることができていないと嘆きたくもなる。

経営者の趣味は会社であるといわれるぐらい会社と同化しているのが、中小企業である。朝は早くから、夜は遅くまで働き、夢にまで会社のことが出てくる、これが経営者である。

特に創業経営者になれば、会社は我が子である。母親は子供をおぎゃーと産み落とした瞬間からある一定年齢までの出来事を事細かく、記憶している。それと同じで創業経営者は創業時から現在に至る過程での会社の概要を事細かに覚えている。

これが経営者である。しかし、最低限のことを社員が理解していない・知らないと、経営者は本当に精神的にガッカリくるものである。

例えば、会社の創業年月日、決算月、社員数、年商、取引銀行等の会社の概要である。これは人間の生年月日、血液型、出身地、家族構成である。私の経験からすると、正確に答えることができる確率は10%ぐらいだろう。

■あるM社長の嘆き

L社はM社長が創業され、現在成長している会社である。

社内の幹部研修会で幹部の方々が創業年月日、決算月、社員数、年商について答えることができなく、M社長はショックを受けられた。

自分の生年月日を答えられない人はいない。それと同じように我が社は成長しており、それを支えてくれる幹部は当然、創業年月日を知っているはずであると考えたのである。

しかしその後の対応は、さすがに成長している会社の経営者である。すぐに会社の歴史をまとめた物を作られ、幹部に配布し、説明され、理解させた。

■あるU社長の嘆き

R社はU社長が創業され、現在、飛躍的に成長している会社である。

創業時から一緒に頑張ってきた常務がいる。U社長は常務を弟のようにかわいがり、常務もU社長を兄貴のように慕い、努力しながら成長してきた。

そして会社の勝負時が来た。この常務をある地域の営業開発責任者として異動させた。常務は異動に伴い、自宅から2時間かけて通勤することになった。この会社は夜型で帰りが遅くなることが多い。そうすると朝が大変になる。朝8時半の出勤に常務は遅刻し始めた。そして慢性的になり、営業拠点のモラルは乱れ、遅刻が当たり前の雰囲気になった。

この新開発拠点の社員が続々と辞めたり、覇気がなかったり、業績が上がらないことに疑問をもったU社長は調べ、常務の慢性遅刻を見つけ出した。

そこでU社長は常務を叱咤激励すると共に朝6時にモーニングコールを1年間かけ続けた。常務は遅刻することなく、出社した。会社でもごく一部の人間しか知らないが、何もそこまでする必要があるのかとU社長は問い詰められたが、実行した。

本当に嘆きたいのはU社長である。

ある場面の嘆きも改善され、時が経つと笑いにも、思い出にもなる。

 

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

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