【新型コロナ時代を生き抜く人事評価】
第4回「人事評価を何に使うのか~採用面接(新規学卒者)」
蒔田照幸氏((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
会社の中で、人事評価をする主な場面は、採用、昇給、賞与、昇格昇進、適正配置の5つである。
まず採用について考えてみたいが、今年のキーワードは、「オンライン面接」と「ジョブ型雇用」である。
まずは新規学卒者についてだ。今年は、新型コロナの影響で採用がずれ込んだりまた採用自体を見送った会社もあるようだが、例年だと、エントリーシートや筆記試験である程度絞り込み、その後、面接で採用を決めるということになる。
この面接での評価対象は人つまりわが社に貢献してくれるかどうかの見極めだが、今年からはオンライン面接が主流である。これについては賛否両論あるだろうけれど、今はオンラインでやらざるを得ない状況である。だが、最終面接は三密を避けた会場設定をして、直接、応募者を見極めたほうがよい。
この面接で、人を比較的正しく評価できるコツを伝授しよう。それは深堀り面接である。いろいろなことを多方面から訊くのではなくひとつのことを掘り下げて聞くという方法だ。
掘り下げるのだからそれに値するテーマや事柄がよい。学生は学業が本分なのだからアルバイトの経験なんか深掘りしても始まらない。学業で深掘りしたいところだ。一生懸命に取り組んだものなら、例えば卒論についてでもよいし、卒論以外でもよい。文学部なら、シェイクスピア、カフカ、カミュ、森鷗外、夏目漱石、谷崎潤一郎……と、これらの作家の名前を聞いただけで、私は青春時代を思い出し懐かしさで胸がいっぱいになる。
就職試験と言えば学生時代のことでついつい思い出してしまうことがある。他大学の学生だったが、彼が都市銀行で最終面接までいった話だ。そこで好きな小説家を聞かれ、太宰治と答えたら、どこが好きかと問われ、「全部好きですが、特に情死したところです」と大真面目で答えたのに呆れた顔をされ、挽回しようと「好きな詩があるのですが」と言って、「汚れちまった悲しみに……」と中原中也の詩を諳んじたら、「もういいです」と言われたという話を思い出す。
彼を不採用にした都市銀行は、それはそれで正しい判断だったと思うが、採用していたら彼はどんな銀行マンになっていただろう。
深掘りの方法はもうひとつある。関心のあるテーマについて学生に予めレポートを提出してもらい、それをもとに根掘り葉掘り聞いていく方法だ。この深掘り法で何が分かるのか、皆さんも実際にやって考えてみて頂きたい。思わぬ発見があるはずである。
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◆蒔田照幸((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
ミルボン、ユニクロ、九州共立大学、(医)金森和心会病院など約700社、人事コンサル歴35年、懇切丁寧な指導で定評がある。人事評価分野では、2018年に大学と提携しAI投影法を開発。京都府立大学卒。1949年三重県出身。
◎賃金人事コンサルティングオフィス
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