小池浩二氏の【プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(57)
【時代に取り残された古参幹部 全4回】
第4回目「21世紀は自分のキャリアとビジョンをプロデュースする時代」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■十で神童、十五で天才、二十過ぎればただの人
「A君は、20代では優秀社員だったが、40代ではダメ社員だ。なぜなら、基本的な考え方・仕事のやり方が20代のときとまったく一緒で、世の中の環境激変に対して、あまりにも成長していないからだ」
—これはある会社の経営者が21世紀型の古参幹部に叱咤激励された言葉です。
40代は、実務面で最も力を発揮する時期であり、30代までに経験・学習したことが活かされ、リーダー、モデルとしてのあり方が期待されます。 また、自分の業績だけではなく、全体(部門・会社)の業績責任が求められ、後進の指導・育成が大きな役割となります。
国民栄誉賞を受賞された将棋の羽生善治氏は、才能について、
「同じ情熱、気力、モチベーションを持続すること。以前、私は、才能は一瞬のきらめきだと思っていた。しかし今は、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることが才能だと思っている。報われないかもしれないところで、同じ情熱、気力、モチベーションをもって継続してやるのは非常に大変なことであり、私は、それこそが才能だと思っている」
と述べています。
つまり、十年とか二十年、三十年を同じ姿勢で、同じ情熱を傾けられることには素直さが必然であり、その素直さは自己の弱さを認める謙虚さがベースとなります。
■自分のキャリアとビジョンをプロデュース
いったい自分には、何ができるのか?この問いの答えは、自分自身の体験と経験から振り返るしかない。 ビジネス・スキルの基本構造をハーバード大学のロバート・カッツ教授が 3つのスキル(テクニカル・ヒューマン・コンセプチュアル)に体系化しています。
●テクニカルスキル……一般的な教育や実務的知識、専門知識
●ヒューマンスキル……部下の指導などの対人関係を処理できる能力
●コンセプチュアルスキル……目標・方針の認識・戦略的思考・創造力・問題発見等の物事を総合的に判断し、概念化できる能力
ビジネス・スキルの中でも、非定型的な能力であるコンセプチュアル・スキルが難易度の上がった仕事への対応能力として必要とされている。その視点とは、
●戦略的思考力
●情報感度
●発信力
●状況把握力
●将来予想力
●構想力
●具現化力
●発想力
●解決力
●判断・意思決定力
等です。
中小企業においては本格的21世紀(複雑系社会…正解のない社会)の到来で、このコンセプチュアルスキルはミドル社員(年齢30~40歳前後)にも、この能力が求められています。
■優秀な人
優秀な人とは、真摯に自分のことを考え、取り組む人が優秀だと確信します。現代は、自分の「持っている能力」「使いたい能力」「持っているリソース」をベースに、職務や役割の棚卸しを行い、自分自身のキャリアとキャリアビジョンをプロデュースする時代に入っていると感じます。
これまでにあなたが仕事をする上で歩んできた人生の経験が、キャリアを形成しています。
「自分は何者か」「自分はどういう存在なのか」「他人からはどのように見られているのか」「自分はどうありたいか」などが融合したものであります。
自分のことは自分が一番よく知っていると考える人が多いですが、本当にそうでしょうか?
改めて、自分情報を整理することも必要です。いったい自分は何ができるのか! 自分の職務の棚卸しをして、“今”の自分が持っているものは何か。それはどのようなものか。まずはその整理をしてみることをお勧めします。
■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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