【特別リポート】
「2020年、コロナ騒動下の渋谷ハロウイン」
日比 恆明氏(弁理士)
今年も10月の末日に近づき、「ハロウイン」の季節となりました。
毎年のように渋谷では、ハロウインというテーマでお祭りが開催されています。外国の宗教行事に名を借りた若者による仮装の騒ぎなのですが、今年は従来とは様子が違っていました。それは世界的に流行しているコロナ・ウイルスによる感染の影響です。
東京都での感染者数は、外出自粛要請をした5月、6月は減少したのですが、7月に解除した途端に急激に増加し、8月初めになると連日2百人を越えるようになりました。その後は一旦は減少したのですが、10月からは又増加する傾向となり、感染爆発の第3波になりそうです。
そんな状況の中で、渋谷の街頭に数万人が繰り出したとなればどうなるか、は誰でも予測できることです。例年であれば、私も10月末日に渋谷に出掛けるはずでしたが、今年はコロナ・ウイルスに感染するのが恐ろしいため、前日の10月30日に出掛け、街の様子を窺ってきました。
写真1
政府は、三密を避けることがコロナ・ウイルスの感染の予防になる、と啓蒙しています。群衆が密集した地域には出掛けないことが、感染しない一番の対策なのです。渋谷区では地元でウイルス患者が発生してくれては困るので、早々と対策を打っています。
写真1は渋谷駅前にある巨大なポスターで「お家でハロウイン」と掲示しており、「渋谷まで来ないで下さい」と叫んでいます。その代わり、ウエブ上での公式の仮想ハロウインを開催しますので、そちらに参加して我慢して下さい、と言い訳していました。
公式のバーチャルハロウインでは、「お家で仮装した参加者の動画が掲載されるようになっている」とのことでした。しかし、公式のバーチャルハロウインでは、ホームページをクリックしても接続することができませんでした。アクセスが集中していたため、接続を拒否されたのでしょう。
その代わり、民間会社が主催するバーチャルハロウインのホームページが複数ありました。こちらの民間主催のバーチャルハロウインは接続は迅速でしたが、内容を閲覧する前に参加者のメールアドレスなどを登録しなければならない仕掛けとなっていました。
要するに、ハロウインに便乗して、個人情報を集めようとするページでした。こんなイカサマのホームページを開設するとは、言語道断です。
写真2
ハロウインの前日でしたが、すでに駅前にはトランプ大統領の仮装をした人が立っていました。手前には「コロナを恐れるな」のポスターを掲げていました。要するに、「マスクをしなくてもコロナには感染しないよ」というトランプ大統領の意見を代弁しているようでした。本気なのか、単に目立ちたいためなのかは不明です。コロナ・ウイルスの感染を防止するにはマスクが必須なのは常識なのですが、この人は相当におめでたいようです。
おめでたい、と言えば、翌31日に渋谷に集まった参加者も同じようなものです。例年の4割程度の人数であったということですが、一夜の娯楽のために病気を恐れずに渋谷まで来るのは度胸がありすぎるものです。
写真3
例年、センター街などの商店では店舗の内外にカボチャや人形などのハロウインに関連した飾りつけをしているのですが、今年はほとんど見かけませんでした。
写真3は、あるゲームセンターの入口の左右に飾られたカボチャですが、控えめな装飾でした。渋谷区役所がハロウイン自粛を叫んでいるのですから、各商店も右にならえで例年のような派手な飾りつけはしないでしょう。飾りを付けていた店舗は数店でした。
写真4
所変わって、旧宮下公園は改築され、渋谷横丁という飲食街に変わっていました。100メートルの細長いビルの1階が全て飲食店で、8月から開業しているのだそうです。道路(どうも私道のようです)には机と椅子が並べられ、屋外で飲食ができます。ここなら、密閉、密着しないのでコロナ汚染を恐れることなく飲食できるでしょう。
写真5
渋谷の街でも、コロナ不況により撤退した店舗を目にしました。写真5は両替店であり、外国観光客の入国禁止の影響をまともにくらったのでしょう。閉店した両替店は、この店の他にも見かけられました。中国、韓国からの観光客が来日しない限り、両替店の復活は難しいでしょう。
■京王モールの閉店
写真6
写真7
JR新宿駅の西口改札口と京王新線新宿駅の改札口の間には、約300メートルの地下道があります。地下道の両側は商店街となっていて、軽食堂、喫茶店、アクセサリー店などの24店舗が営業しています。
この商店街に少し異変がありました。退去した店舗が目立つのです。写真6の右手前にはハンバーガー店が、その奥にはパン屋がありましたが9月に閉店しました。写真7ではハンドバッグなどの小物雑貨を売る店舗があったのですが、ここも閉店してました。その他にスパゲッティ店も閉店していて、降ろしたシャッターが目立っています。
この地下街では、一日に数十万人は行き来して、商売には絶好の場所ですが、それでも撤退してます。この商店街では、今まで店舗の入替は有りましたが、このように一度に大量の閉店は珍しいことです。各店舗が閉店した理由は不明ですが、コロナ・ウイルスの影響が大きいでしょう。
日本経済新聞のアンケート調査によれば、現在のコロナ騒動が沈静化するには来年の10月以降ではないか、と発表しています。株価は上昇しているのですが、消費者の支出は低下しているようです。これからも新宿では店舗の撤退が予想されます。