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「新型コロナウイルスについて」(真田幸光)

真田幸光の経済、東アジア情報
「新型コロナウイルスについて」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

世界的に見た新型コロナウイルスの感染拡大は少し留まってきているとの報告も見られ、期待しているところです。

こうした中、中国本土・武漢で新型コロナウイルスの起源を調べていた、中立で科学的で客観的な組織であるべき世界保健機関(WHO)の調査団は2月9日、約2週間の調査を終えて記者会見を開き、米国のトランプ前政権が唱えた武漢ウイルス研究所からの流出疑惑について、
「その可能性は極めて低い」
と認定し、今後は調査の対象から外すことを言明しました。

調査団長のベンエンバレク氏は会見で、新型コロナウイルスのヒトへの感染経路について、
1.最初にウイルスを宿した野生動物から直接ヒトに感染した
2.「中間宿主」となる動物を介して感染した
3.冷凍食品に付着したウイルスから感染した
4.武漢ウイルス研究所の事故による流出である
の可能性を指摘した上で、今回の調査の結果、武漢ウイルス研究所の管理に問題はなく、短期間で新型コロナに変異したと考えられるウイルスもなかったことなどから、その流出の可能性は排除できると結論つけました。
 
ベンエンバレク氏は、残る三つのシナリオの中では中間宿主を介しヒトに感染した可能性が最も高いが、冷凍食品の包装などを経由して広がった可能性も高いとの見解を示しています。

即ち、人為的なウイルスではなく、自然発生のウイルスが広がっていったものという見方でありましょうが、
☆そもそも一年以上経った今回の調査に意味があるのか?
☆やはり、中国本土政府と示し合わせた出来レースの調査ではないかとの疑心暗鬼の残る調査ではないか?
☆自然発生が事実としても、中国本土の初期対応に問題はなかったのか?
などに疑問や不信の残る調査結果発表ではなかったかとの見方ができそうです。
 
但し、近く、発表されるWHO本部でも発表も注目はしておきたいと思います。

尚、上述の通り、WHOが新型コロナウイルスの起源が武漢ではないとのお墨付きをつける中、中国本土政府は、ここぞとばかりに、発展途上国向けに、新型コロナウイルスワクチンの無償援助を始めています。

その対象は53か国・地域と見られ、国際的にワクチンが不足するなか、途上国の需要に応え、関係強化に繋げる狙いであるとも見られ、これら途上国諸国から歓迎の意も示されています。

時代の流れは中国本土にフォローの風を送っているのでありましょうか。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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