小池浩二氏の【プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(61)
【業績をつくる黄金法則 全4回】
第4回目「戦術の組み方」
小池浩二氏（マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役）
商材戦略が終わると、今度は戦術を組んでいきます。
戦術とは人を動かす方策であり、ポイントは２つあり、１つはマネジメントです。マネジメントの本質は、決めたことを決めた通りにやらせていくことです。
もう一つはハウツーです。ノウハウであり、仕事の標準化です。組織は人が動かします。人が組織を動かしやすくするためには、やるべきことをパターン化すること。やるべきことのパターンを決めないから習慣化できにくいです。そのやるべきことをパターン化する代表的な経営施策が経営計画書や業績検討というものです。
■具体的計画の立案と周知徹底、役割分担
訓練せずにぶっつけ本番で勝負しないことです。
具体的計画の立案と周知徹底、並びに役割分担は、目標が決まると、それをどういう方法で実践するかを具体的に考え、計画を作ることです。部門単位で考えると部門長が具体的な計画を作ります。そしてその内容・方法をメンバーに周知徹底させなければいけません。
目標に向けての具体的な道順・手順・段取り・方法を皆に理解させ、できるように訓練させます。この周知徹底させる段階で、「やり方がよくわからない」とか、「やったことがない」等、色々な問題が出ます。やり方をキチンと教えていくことも含めた周知徹底です。これが非常に重要です。
中小企業の業務の問題点は標準化です。平たく言うと「できる人とできない人を作らないこと」です。業績の上がらない会社・部門は計画だけ作り、訓練せずにぶっつけ本番で勝負するから負ける確率が高くなります。
それを踏まえ、誰が何をいつまでにどういう方法でやるのかを５Ｗ２Ｈ形式にて役割分担を図ります。
■出来映えの確認（全体と個）
問題の早期発見です。出来映えの確認とはチェックをすることです。
つまり、決め事が「キチンと消化されているかいないか」「消化されていないものはどういうものなのか」「誰がやっていないのか」を確認することです。また、数値的な面で見ると、「今、現状の進捗状況はどのぐらいで、月末までの見込みはどのぐらいになるか」を考えていくことです。
出来映えの確認の機能がないと、いくら具体的な計画を作って、役割分担しても、「１カ月間ノーチェックで経過」するから、「月末に締めて出てきた結果が業績である」という発想になります。「業績が出た」と「業績を叩き出した」では根本的に違います。
途中のプロセスをキチンと確認していくことは業績を作り上げていくのと同時に成功事例、失敗事例の要因も押えることにもなります。これが会社固有のノウハウになります。
そのチェックポイントは、当月の対策は毎日、翌月以降の対策は毎週単位で実施していきます。
■軌道修正
問題点の早期治療です。月初に決めた内容は月中・月末の間で状況変化が起こります。それに対し、素早く問題点を見つけ、軌道修正処理を行うのが「スピードのある会社」です。スピードのない会社は稼動日数ゴールに着いて、初めて問題があったことに気づくし、決め事も消化せずにいるから決め事の在庫の山を築く。これでは戦えません。
決め事は月をまたがないのが原則です。
やらなければならないことを当月中にピシッと終わらせることが肝要であり、決め事の在庫は要りません。軌道修正は現場のことを日々見つめるから、すぐに行うことができます。また、判断能力の高い現場長がいるとスピードよく対応できます。
何から何まで経営者に頼る組織の場合は、この軌道修正のスピードが余りにも遅い。ましてや中小企業の場合は、報告・連絡・相談という重要基本動作が非常に苦手です。「社長から連絡しないと部門長からは連絡が来ないという風土」は社長のところでもおありではないですか？
そういう風土なら、軌道修正が必要なときでも、社長と会わなかったら軌道修正をかけられなくなります。このような部門長は決め事の在庫の山を築き、業績はさっぱりの状態になります。
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■ 小池浩二氏 （マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役）
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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