小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (67)
【経営基盤の視点 全4回】
第4回目「経営基盤の土壌を肥やす環境」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
①公開経営
なぜ、公開経営が必要なのか?
それは「経営は環境適応業」であるからだ。環境適応とは少子高齢化の人口構造になれば、シルバービジネスが発展成長するし、地球温暖化対策が必要になっている現在は環境・エネルギービジネスが成長する。
このように私たちを取り囲む環境が変化すれば、それに順応していくのが、人間であり、社会であり会社である。
スマホ・PC・SNSを活用しない人はいないだろう。つまり、現在の社会生活は公開社会を基盤として生活を営んでいる。
文明開化が起これば武士がちょんまげを切り、理容業界が発展した。この10年で高度な情報公開社会に様変わりした。それに順応するように一個人では、この情報公開社会に対応し、生活を楽しんでいる。
反面、24時間の中で多くの時間を費やす「会社生活」で最低必要な情報が公開されないと社員が会社に対して「?」を抱くのは普通の感覚である。つまり、公開経営に踏み切れない会社は社員からリストラされると認識していただきたい。
しかし「公開経営」と「ヌーデイスト経営」は違う。見せなくて良い部分は見せなくとも良い。これがバランスである。特に経営数値に関しては理解ができないテーマを見せても、いたずらに混乱を招くだけであるし、誤解の元である。
②全社員参画型経営
参画とは自ら考え、行動し、責任を取ることである。
バラバラ集団の組織を統一し、強化するためには全社員に「目的・目標の共有化」を図ると同時にどのように進めるかの「具体的計画の立案」とその方法を理解し・できるようになる「周知徹底」が必要である。
中小企業の組織階層は経営者・役員・部門長・中堅幹部・中堅社員・社員の構成となる。特徴として、社長と社員間にはギャップがありすぎるし、経営陣といえども差がありすぎる。
勿論、給与を支払う側ともらう側では一致は絶対しないが、差が有りすぎるのである。だから、経営者が何でも自分1人でやろうとするから、「色々な経営施策の仏を彫っても、魂が入らず」状態になる。魂が入らないから、経営者が一人で苦労する悪循環に陥る。
経営者ができることはわかっている。しかし、経営者1人では成果に結びつかない経営施策は山ほどある。目的・目標は全社員が同じである。しかし夫々の役割は違う。役割が違うから、「自分の部門・自分」は今、何を成すべきかを考えないと経営者への依存度が高まるばかりである。
そうなると会社を「社長の会社」としか見ない。自部門・自分の役割を全員が「我がこと」として考えるから、そこには成果への執着が生まれる。そして達成した時の喜びが体感できるのである。
体感度を強く感じることができる会社は「幸せを創れる企業」である。
③一体感経営
中小企業の成長要因を一つだけ挙げるならば「一体感」である。
日本の経済を支える中小企業の一体感を研究した国がある。それはアメリカである。1980年代のアメリカは日本企業の攻勢にあいながらも徹底的に日本企業の持つ強みを研究した。その強みの源泉として「一体感としての求心力」と「チーム力」といった目に見えないものが挙げられた。
そして強い関心が高まり、戦略・経営の仕組み等の目に見える部分と経営理念・組織力等の目に見えない部分の両輪が研究され、その重要性が問われた。
中小企業の経営には「ルール・規則はその通りだが、フイーリングが合わない現象」が幾多とある。会社の成長軌道の安定期までは経営者が現場に出て、先導者として朝は早くから、夜遅くまで一身腐乱に働く。その姿に引きずられ、社員も同じように働く。そこには「残業が云々」「休日出勤が云々」という世界はほとんどない。
お役所からはお咎めがくるかもしれないが、当事者たちは「自分が好きで働いているので、ほっといてくれ」と思っている。これは「自分がこの会社を支えている」充実感で満たされているから、働き人としては幸せである。一体感のつくり方は時代によって、経営者のキャラクター、会社の体質によって色々あるが、触れ合いを通じ、個々の人間性を認めあい、成果を共に喜び、悔しがる関係がベースである。
■ 小池浩二 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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