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【特別寄稿】新・付加価値高配分の考え方(蒔田照幸)

■年末賞与にも業績連動型の付加価値高配分ルールを

年末賞与についても、今はコロナ下だから特別な対応が必要と思われるが、今後は業績連動型の付加価値高配分ルールを確立すべきである。現状は会社業績を反映した賞与でないことが多く、社員のモチベーションアップに繋がっていないからだ。

私たちは、これまで「賞与は利益の配分」であると言ってきた。これは労働基準法で、たとえ会社が赤字であっても月々の支払いが義務となっている賃金とは違って、賞与は業績に応じて支給するもので、賞与の規定の仕方にもよるが、業績次第では賞与は支給しなくてもよいことになっている点を強調したかったからだ。また「賞与は利益の配分」と聞いただけで、単純明快で胸にグサッと突き刺さってくる衝撃がある。だが正直なことを言えば、賞与は利益の配分ではなく「付加価値高の配分」と言ったほうがその本質をよくとらえている。

ここで押さえておきたいことがある。それは付加価値高と利益の違いだ。よく混同されて使われることがあるが、大きく違う点がある。付加価値高には月々の賃金や法定福利費が含まれているが、利益にはこれらは含まれていない。この点を理解して先に進んで頂きたい。

例えば、毎月、社員が長時間残業をして利益を出した場合を考えてみよう。

賞与を「利益の配分」とした場合、残業代は経費として支出され、その分は利益が少なくなるが、基本的には毎月の人件費の多寡に関わらず利益の配分ということになる。それに対して、「付加価値高の配分」の場合は、労働分配率で人件費の総枠を決めてしまうから、知恵を絞って創意工夫、改善をして残業を減らせば、その分賞与原資は多くなり、成績が良かった社員により多くの賞与が支給されることになる。つまり、「付加価値高の配分」の場合は、総額人件費管理をうまく機能させ、より一層社員のモチベーションアップに繋げることができるのだ。

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