~「西洋人初の芸者」としての喜びと苦労 [ 特集カテゴリー ] ,

【講演録 特別採録】「外国人だから気づき・守れる日本文化の“粋”」(紗 幸:フィオナ・グラハム)

★ 紗 幸(さゆき:フィオナ・グラハム)

(芸者、早稲田大学講師)

オーストラリア出身。交換留学生として日本の高校を卒業。慶應義塾大学で学位取得後、オックスフォード大学でMBA取得。世界数ヶ所の大学で講義をし、ドキュメンタリー制作の監督も務める。2007年12月浅草で正式に芸者としてお披露目を行い、花柳界400年の歴史上初の西洋人芸者としてデビュー。

【はじめに】

西洋人初の芸者・紗幸さんから「深川芸者のサポートお願い」が届いた。長引くコロナ禍で芸者衆には国や自治体からの補助が十分に行き届かず、経済的に苦労しているとのこと。芸者の方が講演する機会はなかなかなく、花柳界をめぐる状況はよほどなじみでなければなかなか知ることができない。2016年の講演ではあるが、本人のご希望もあり、採録させていただくことにした(講演は日本語でされた)。

 

■なぜ「芸者」になったのか?

 

私は初めから芸者になるつもりはありませんでした。大学で社会人類学を専攻していたのですが、博士号を取ったあとテレビ番組を作ることになり、シンガポールのテレビ局にアイディアを10くらい持っていきました。ヤクザなどもありましたが、花柳界について興味を持っていただきました。打合せでしゃべっている中で、「私が芸者になります」と言ってしまったのが始まりだったのです。

一回日本に戻ってきて研究しようと思いましたが、そのときは芸者さんについて何も知りませんでした。素人として花柳界にどこから入ったらいいか全くわからず、慶應大学の先輩を頼ることから始めました。

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