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【特別インタビュー】白百合醸造・内田多加夫社長

「ワインは農業。人と同じくそれぞれに個性がある地元を

大切にすることが、おいしいワインづくりの基本」

ロリアンワイン 白百合醸造(株)

〒409-1315 山梨県甲州市勝沼町等々力878−2

Tel: 0553-44-3131

 

内田多加夫 代表取締役社長

白百合醸造は昭和13年(1938)に、今の内田多加夫社長の御祖父様が創業された。いみじくも清話会と同じ年の創業だ。現在、日本に約330のワイナリーがある(H31年)が、“ワインの里” 甲州・勝沼には約30、山梨県は80のワイナリーがある。世界各国から数多くのワインがエントリーする「デキャンタ・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)2021」で、日本のワイン2本がプラチナ賞を受賞したが、そのうちの1本は白百合醸造「ロリアン 勝沼甲州 2019」であった。

清話会では「SENKEN良品クラブ」を立ち上げ、「テロワールなお酒と食品」の通販を手掛けていく予定だが、ご縁があって白百合醸造のワイン、ブランデー(グラッパ)を扱わせていただくことになった。ワイナリーに内田社長を訪ね、その思いとワイナリーの歴史について伺った(聞き手:佐々木俊弥〔清話会 代表取締役〕)。

 

■ワインと、日本酒や

 他のお酒類との違い

――昭和13年(1938)という戦争直前の時期にワイナリーを始められた、そのいきさつを教えていただけますでしょうか。

内田: いま「始められた」と言われました。ところがその時代のワイナリーはすべて「始めた」わけではないのです。ブドウがあるからブドウを絞って、鍋や釜に入れておいておけば自然に発酵してワインになってしまいます。

そもそもワイン造りとはどういうものか。ワインを造る、と言いますが、ワインはできちゃったのです。ブドウがあって、放っておけばアルコールになることは知っている。現代だから酵母菌という言葉を知っています。ワイナリーは酒税法で税金を払わなければなりません。ワイナリーの創設とは言いましても、そこに書類があったからというだけで、その前から皆、造っていたはずです。ブドウを取ってきて置いておけばワインになってしまうのですから。ですからワインは、売るためではなくて、自分たちが飲むために、自宅の裏庭や蔵で造り始めたわけです。

 昭和13年当時、山梨県にはワイナリーが3000軒ありました。私どもも、そもそもは酒、タバコ、塩の小売業でした。その裏で、ワインを造って10人くらいの農家の人たちと飲んでいました。そして近所の人たちと白百合葡萄酒共同醸造組合をつくりました。

 日本人は、ワインを日本酒、清酒、焼酎と同じ部類で考えがちですので、特殊な人が特殊な方法で、特殊な免許を持ってマジックみたいにお酒を造っていると思っているようですが、そうではありません。ですからほとんどのワイナリーが自宅と併設で、本業のほうがなくなってワインのほうが主になっていった、ということです。

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