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「ユニバーサル野球が描くインクルーシブな未来」 (引地 達也)

 「打ちました! 2ベースヒット、2点です!」「残念! アウトです!」。

実況する声がグランド上に響く。その度にベンチに陣取った両軍の「選手」たちが歓声を上げる。そして次に打席に立つ選手に声援を送る―。

桜満開でも花冷えがする栃木県真岡市の勝瓜サッカー場で行われたのは、誰にでも楽しめるユニバーサル野球だ。約3メートル四方の野球盤はバネで固定されたバットの留め具をひもで引っ張ることで打つことができるから、微細な力でも選手として打席に立ち、打つことができる仕組みである。

ベンチの歓声を盛り上げる実況と打席に立つ選手の名前を伝えるアナウンスが響く。両軍に分かれて陣取るのは、障がいのある18歳までの児童生徒が通所する放課後デイサービス「こどもサークル」の利用者とその保護者たち。回転盤に置かれたソフトボール大のボールをじっくりと見てタイミングをはかりながら、打撃する子どもたちだが、打った瞬間に歓声が上がるものの、なかなかヒットゾーンには飛ばず、歓声はため息に変わる。ヒットの際の歓声はひときわ盛り上がる仕掛けでもあるようだ。

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