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「いつ破綻するか分からぬ不安定な回復」(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
「いつ破綻するか分からぬ不安定な回復」

真田幸光氏(愛知淑徳大学教授)

日本政府・内閣府と財務省が3月13日発表した本年1~3月期の日本国内の法人企業景気予測調査によると、大企業(資本金10億円以上、全産業)の景況判断指数はマイナス3.0となっている。

また、これは昨年10~12月期の0.7から悪化しており、日本経済は当初の見通し通りの景気回復とは、残念ながら、なっていないようである。
もう少し、日本経済の動向を静観したい。

国際機関である経済協力開発機構(OECD)は、本年の世界経済の成長率見通しを2.2%から2.6%へと上方修正した。

但し、インフレ対策として政策金利の引き上げがまだ必要であり、しかし、その副作用として、景気腰折れリスクが残り、世界経済に不安も残っているとコメントしている。

また、こうした中、韓国の経済成長率については、その見通しを従前1.8%から1.6%に引き下げている。

世界経済のこうした不安定な状況を端的に示すのが今回の報告書のタイトルに表れていると国際金融社会は見ており、
「Fragile Recovery」
脆弱性を持つ回復、これを筆者なりに日本語にて大約すると、
「いつ破綻するか分からぬ不安定な回復」
とでもなろうか。

世界的な半導体業界の不振が顕在化、交易活動も鈍化、中国本土経済も本格的な回復に至っていない中、世界経済には不安定感が残っており、こうした不安定感を最も受ける国が韓国になるとのこともあり、韓国の経済成長率予想は下方修正されたのであろう。

OECDは、中国本土のゼロコロナ政策の解除からくる「リオープニング(経済活動の再開)」が韓国を含む世界経済の回復に貢献するとの見通しは示している。

そして、その韓国とオーストラリアに関して、特に、
「中国本土の成長に向けた反転回復の受益を多く受ける国々である」
としている。

また、米国のシリコンバレー銀行(SVB)破産事態で触発された金融不安については、今のところ、
「市場金利と債券価格の急変動により金融会社がより高いリスクに陥ることがある」
とこれ以上、国際金融市場に於いて、不安心理が拡大せぬよう、比較的冷静なコメントを留めている。

「金融取引にオンライン・モバイルの動きが出て、銀行の支店は急速に減っている」
といった見方を世界銀行も示し始めている。

即ち、世界銀行の集計によると、10万人当たりの銀行支店数は2016年に12.3店舗と歴代最高であったが、その後減少し、2020年には10.7店舗に減っているとしている。
更に、このような統計は世界平均値であり、ITが発達した先進国では更に、支店閉鎖の速度がはるかに速いとも分析されている。

今後の動向をフォローしたい。

 

真田幸光————————————————————
清話会1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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