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懸念される原油価格の動向(真田幸光)

【真田幸光の経済、東アジア情報】
懸念される原油価格の動向

真田幸光(愛知淑徳大学教授)

筆者は、
「世界的なインフレの再燃」
となると、米国は予定通りに政策金利の引き下げが実行出来ず、また万一、利上げせざるを得ぬ状況となれば、米国では借り入れを返済出来ぬ借入人が急増し、米国経済、そして世界経済も混乱する事態が起こる危険性も危惧している。

そして、その世界的インフレ再燃の一つの大きな背景となるのが、
「原油価格の動向」
にあると見ている。

そして、米英に反感を持つ、ロシア、イラン、ベネズエラなどが連携して、例えば原油現坂の動きを本格化すれば原油WTI価格は1バーレル100米ドルに迫ることも考えられ、米国の金融政策に大きな影響を与えるであろう。

こうした中、そのベネズエラでは3日、自国領と一方的に主張する隣国・ガイアナ西部の、油田を抱えるエセキボ地域に新たな州を創設する法律が成立した。
ガイアナ政府は猛反発し、両国間の緊張が高まっている。

この法律では「グアヤナ・エセキバ」州の創設を規定した。
領土紛争に関する協議が続く間は国家元首が知事を選出し、国会が立法機能を担うとしている。
エセキボを含まない地図の出版を禁じる。
 
反米左派のニコラス・マドゥロ大統領は、
「米南方軍と米中央情報局(CIA)が、攻撃の準備の為、エセキボに秘密軍事基地を設置した。
ガイアナは南方軍やCIA、エクソンモービルによって統治されている」
と述べている。

法律の成立に対し、ガイアナ政府は、
「国際法の最も基本的な原則に対する甚だしい違反である」
とベネズエラを非難する声明を発表した。

エセキボはガイアナ領土の約7割を占める地域であり、2015年にガイアナ沖で米石油大手エクソンモービルが油田を発見して以来、領土を巡る対立が激化している。

ベネズエラは昨年12月、エセキボ併合の是非を問う国民投票を行い、95%が賛成したと発表、この国民投票結果を受けて、今回の法律が国会で議論されていたものである。

こうした動きも原油価格上昇を匂わせる状況であり、フォローしたい。

 

真田幸光————————————————————
1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1984年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支 店等を経て、2002年より、愛知淑徳大学ビジネス・コミュニケーション学部教授。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小 企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー、日本国際経済学会、現代韓国朝鮮学会、東アジア経済経営学会、アジア経済研究所日韓フォーラム等メン バー。韓国金融研修院外部講師。雑誌「現代コリア」「中小企業事業団・海外投資ガイド」「エコノミスト」、中部経済新聞、朝鮮日報日本語版HPなどにも寄稿。日本、韓国、台湾、香港での講演活動など、グローバルに活躍している。
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