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【中小企業の経営理念構築 全4回】第3回目「日常の考え方・行動を具体的にする行動の原点」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (23)

【中小企業の経営理念構築 全4回】
第3回目「日常の考え方・行動を具体的にする行動の原点」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■規律遵守のためには

「青信号は渡り、赤信号は止まる」
皆が知り、実行するから交通社会は成り立つ。しかし会社に共通の価値観・言葉がないとバラバラになる。

会社内で全員が理解できる共通語がムダをなくす。
誤解してもらいたくないのは、「カン」は大切である。経験測から湧き上がるカンは鋭いし、よく当る。しかしカンを働かせる見配り・気配り・知恵配りがないとカンは働かない。

この見配り・気配り・知恵配りを全社員ができればよいができないから、共通語が必要になる。よく「阿吽の呼吸」とか「俺の目を見ればわかる」というが、わからないから会社がうまくいかないのである。同じ言語を使える同一社族をつくることである。

解りやすく、はっきりした規律・規定・基準を設定し、誰にでもわかるようにしないといけない。そして、先ず、職場規律を大事とする考え・姿勢がないとといけない。つまり、経営者・幹部が常に規律に従った態度・行動をしなければならない。

次に職場規律を社員に周知徹底させることである。規律の存在は知っているが、なぜこのような規律になったのか? その背景・理由を知らないと規律は風化しやすい。質問されたとき・規律が乱れ始めたときは、必ずその背景・理由から説明しないと「できていないからダメ」だけでは、意味がない。

そして違反行動に対してはその場で、厳しく注意をすることである。その場で指摘するから、効果がある。これを「叱る」という。これができる会社は規律ある職場ができる。

例えば遅刻しても何も言われなければ、遅刻してもよいと周りの人間も思う。そうすると職場の規律はすぐに乱れる。

■リッツ・カールトンも実践している行動の原点

世界のホテルでサービス内容のトップとして君臨するのがザ・リッツ・カールトン・カンパニーである。このホテルは1983年、米国アトランタで誕生した新しい会社であるが、世界中で多くの利用者を魅了している。そのためには、さまざまな工夫がなされているが、やっていることの本質は非常に中小企業向けの施策である。

クレドと呼ばれる理念、実現のための具体的な行動指針をラミネート加工のカードに印刷し、全世界にあるリッツ・カールトンの全社員が携行している。折りたたむと名刺サイズである。具体的な行動指針は何種類かあるが、全社で共有する”ゴールデン・スタンダード”と位置付けられている。 ゴールデン・スタンダードを実践するためのザ・リッツ・カールトン・ベーシックが20項目ある。日本風にいうなら、「考え方・行動の基準」である。

幾つかご紹介する。
〇妥協のない清潔さを保つのは、従業員一人一人の役目です
〇職場にいるときも出たときもホテルの大使であるという意識を持ちましょう。いつも肯定的な話し方をするよう、心がけます。何か気になることがあれば、それを解決できる人に伝えましょう

具体的なわかりやすい言葉で述べられている。そして泥臭いのが毎朝世界中のリッツ・カールトンでこれを唱和していることである。

昨今の中小企業はこの泥臭さが少なくなっている。
前述している経営理念による組織の軸足づくりで説明しているが、作成する経営理念・行動の原点を名刺サイズに印刷し、毎朝朝礼で唱和すればよい。

唱和とは「声を出すだけ」ではない。「声に出しながら、確認し、考える」ことである。確認とは声に出した内容を自分自身がどのように取り組んだのかを考えることである。この行動を1年200日繰り返せば、強い集団になる。

■日常の考え方・行動を具体的にする行動の原点

経営理念は、企業の存在意義であり、これから私たちが目指していく目標・姿である。この目標を日常の中で実践していくために、日常の考え方・行動のありかたを具体的な言葉に表したものが行動の原点(五つの誓い)である。
各人がそれぞれの仕事に従事しながら、日々「本当にこれでいいのか?」と言う問題意識・改善意識を持ち、行動の原点にある【考え方・姿勢・行動の仕方】に照らし合わせて実践していかなければならない。

我々は日常「どういう心構え」をもって、仕事に望まねばならないかを、「ビジョン」「商品」「顧客」「管理」「チームワーク」に分けて確立する。

そのときのポイントとして、現状の問題点を上記5点より把握し、どのようなことをしていかねばならないか、改善の方向を確認する。

●ビジョン……我が社の行くべき方向と夢は何か
●顧 客……お客様に対する考え方は何か
●商 品……どのような商品を提供していくのか
●管理……管理に対する基本的な考え方は何か
●チームワーク……チームとしての価値基準は何か
以上の5点の要素に分けて、使命感を遂行する上での日常業務の行動基準を作成する。

≪行動の原点事例≫

■行動の基準づくりの事例

この事例企業は急成長している企業で社員数が200名を超えており、組織運営への脱皮が求められる状態で、経営理念の存在への認識は悪くはないが、それを考え方・行動の判断基準へ落とし込む仕組み・運営ノウハウがないために理念が活かされていない状態であった。

解決策として仕事の遂行5つの心構え(行動の基準)の行動チェックリストを作成して対応している。

ご参考にしてください。

 

(次回に続く)


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         筆者 小池浩二氏が
  【中小企業に必要な経営の技術】の概論を
      YouTubeで説明しています

      http://www.m-a-n.biz/3-3.html

         是非、ご覧ください
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