小池浩二氏の [プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(27)
【チームとしての考え方を共有化しよう 全4回】
第2回目「働きやすいチームワークとは」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■勝てるチームの要因と負けるチームの要因
メンタルトレーニングというものがあります。
世界各国のオリンピック選手やプロスポーツ選手が盛んに取り入れているスポーツ心理学の心理的スキルです。
「スポーツ選手が技能や体力をトレーニングするように、試合場面で最高の能力を発揮できるように心理的にもトレーニングを行い、やる気などを高め、自分で自分をコントロールするようにする」ことを目的としています。
「心・技・体」の「心」の部分を科学的にトレーニングすることで毎日の練習で培った技術や体力を最高度に発揮し、徹底的に勝つ可能性を高めようとする方法のことらしいです。
その中で、メンタルトレーニング応用スポーツ心理学研究会の大商学園・田口先生がまとめられた図表1の『勝てるチームの要因と負けるチームの要因』をご覧ください。
スポーツばかりではなく、一般企業でも共通する要因を抜粋しております。
どうでしょう? あなたのチームにも当てはまる要因はあるのではないでしょうか?
プレイングマネージメント体制でチームを強くする観点からすると、特に、
3.自分がリーダーのつもりで1人1人やっている。
4.人の嫌がることを喜んで手伝い、協力する。
5.やるべき仕事、役割をきっちりやる。
6.目標のために今すべきことをやっている。
7.人の話を聞く耳を持ち、そして自分に生かす。
8.コントロールできるもの多く持っている。
11.やれること、出来ることを見つけ率先してやっている。
13.軌道修正がはやい
の項目は重要な要因となるでしょう。
■メンバーはその人が置かれた「場」に影響を受けて行動する
カール・レヴィンという著名な行動科学研究の第一人者がいます。
彼が提唱した有名な理論で「場の理論」があります。
人間は個人の特性によるだけでなく、その人が置かれた「場=職場環境」に影響を受けて行動するものだというもので、組織における人間行動を理解するための1つの枠組みとされます。
よくポジションが人を作るといいますが、これはこの場の理論の典型事例です。また、カール・レヴィンは職場環境がメンバーの行動に影響を及ぼす関連性を次の式で説明しています。
メンバーの行動(業績成果)=(本人の能力・性格)×(職場環境)
つまり、メンバーの行動は本人の能力・性格のみならず、その職場の働く環境によって、大きく影響を受けるとしています。いくら、メンバー本人の能力が高くとも、会社の方針・部門の方針が不明確であったり、目標がなかったり、リームリーダーの指示が曖昧であったりすると、働きにくい職場となり、メンバーの行動がピントずれになり業績成果は出ません。また、その逆もあり得るわけです。
メンバーの行動に影響を与える職場環境をいかに働きやすく=動きやすくするかが重要となります。
■働きやすいチームワークとは
働きやすい職場をつくるために必要なチームワークのよい状態とは、このような状態を表すのでしょうか?
以下に10点記します。
① チームの雰囲気が暖かく、活気がある
② チーム共通の目標を全員が理解している
③ チームメンバーに関心を持ち、お互いに聞く姿勢を持っている
④ チームメンバー同士がお互いの人格を認め合っている
⑤ リーダーシップはメンバー全員が持ち合わせている
⑥ 自分の役割を責任をもって遂行している
⑦ チームを維持継続・発展させる工夫努力をメンバー全員が行っている
⑧ チームメンバーがお互いに対する牽制機能を発揮している
⑨ チームメンバーが相互に補完していく発想がある
⑩ 今、自分が何をやるべきかを常に考えている
このような状態が恒常化するとチーム運営の当たり前のレベルが上がり、働きやすいチームとなります。ところが、実態としてよいチームワークの状態がなかなか保たれない。それはなぜでしょうか?
① チームを動かす原理原則を理解していない。
② よい状態のチームワークを体験した者が少ない。
③ チームリーダーに依存しすぎており、チームとしてのワークがない。
④ 個人商店的発想でチームで仕事をする発想が乏しい。
⑤ 役職・経験のみで物事を決め付ける習性があり、中堅・若手社員がカヤの外。
⑥ 決め事が守られずに正直者がバカをみる風土がある。
最初からチームワークの良いチームはありません。前にも触れていますが、中小企業という組織は本来の組織からすると、価値観が違う人達が集まる人間動物園です。ですから、組織をまとめようと工夫しないと崩壊します。
つまり、チーム・チームメンバーに仕事をチームでしていく発想があるから、チームワークが鍛えられていきます。
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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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筆者 小池浩二氏が
【プレイングマネージャーの仕事術】の概論を
YouTubeで説明しています
http://www.m-a-n.biz/8-1-0.html