小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (35)
【シェアの奪い合いが生存条件になる時代が到来 全4回】
第2回目「シェアの見方」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■業界の伸びに注意
業界の成長を把握して、売上計画や実績をチェックする。例えば、業界全体の需要の伸びが3%なのに、自社の売上成長計画を20%アップと設定しても、達成の具体策は厳しくなる。逆に、業界全体が10%伸びているのに、自社の売上成長計画を5%と設定しては、結果的にシェアダウンになってしまう。
■エリアごとの特性に着目
エリアによって需要規模や伸び率が違う場合、その実績を正しく把握する必要がある。自社売上高の成長率が、エリア需要の成長率を上回っているかをチェックする。特に自社にとって重点としているエリアは、その動向を注視することが重要だ。
■ランクごとの得意先特性に着目
エリアの成長率だけを見るのではなく、顧客ランク毎の実績を確認する事も必要。重点とするエリアと重点顧客は必ず一致するものではない。エリア政策、顧客政策を具体的に立案し、対策を講じることが求められる。
■市場占有率の法則
シェアアップは売上高を増やすために不可欠であり、その方法としては、顧客数を増やす(ストアカバレッジを高める)ことと、1得意先当たりの販売額を増やす(インストアシェアを高める)という2つがある。
1年間で既存顧客数の10%~15%が、いろいろな理由で脱落・消滅するといわれており、常に新規顧客を増やさなければジリ貧になる。既存の顧客については安定取引、販売の効率アップ、ライバルを叩くということから常にインストアシェアを高める努力が必要だ。
■シェア対策が戦略
需要量(マーケットサイズ)が低下している現状で売上高を伸ばすには、マーケットシェアを拡大することが決め手となる。
衰退産業の中でも業績を伸ばしている会社は、「シェアポジション」が高い。売上目標・計画を作るときに得意先の見方をシェアという数値を通してみると、見えてくるものが変化する。
マーケットシェアから戦略を組み立てる時代だ。
中小企業のシェア発想は、大企業のシェア発想とは違う。大企業はマーケットサイズをベースに考えるが、中小企業のマ-ケットシェアを押さえる視点は、該当マーケットで何番手に位置しているかで構わない。
まずは自社のポジションを押さえることだ。
〇全体で何番手なのか?
〇カテゴリー別で何番手なのか?
〇それは伸びているカテゴリー・減少しているカテゴリーのどちらか?
〇自社が得意なカテゴリーで何番手なのか?
〇伸ばして生きたいカテゴリーで何番手なのか?
〇どのカテゴリーを奪っていくのか?
そして、上の番手企業・下の番手企業への対策が戦略として生まれる。なぜなら、社会・業界・顧客・ライバル変化の動きを見るからである。売上高とシェアの基本関係は総売上高を構成する要素でみるとわかりやすい。
■売上高とシェアの関係
総売上高を構成するには4つの要素があり、それはエリア別売上高、担当者別売上高、得意先別売上高、商品別売上高の4つ。この中でエリア別売上高を細分化すると2つに分かれ、
〇ストアカバレッジ……(自社取引店数÷取引対象店数)
〇マーケットシェア……(エリア別売上高÷地域内需要量)
がある。
次に得意先別売上高を細分化すると、
〇インストアシェア……(得意先別発注高÷自社取引先の総売上高)がある。
マ-ケットシェアの視点で押さえることは、
〇自社のポジションは相対的に強いか弱いのか
〇業界は少数寡占なのか多数乱戦なのか
〇市場は成長期なのか成熟期なのか衰退期なのか
〇どの企業が同じ顧客に販売しているのか
〇ライバルはどこなのか
〇自社は何番手なのか
等を考えることだ。
したがって、「勝てる場所はどこなのか? そのやり方は? どこを叩くのか?」とマーケットシェアから戦略を組み立てる時代になるわけだ。
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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。
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