小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (39)
【戦い方のセオリーづくり 全4回】
第1回目「経営基盤づくりのマイスター式6段階構築方法」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
経営のあるべき姿・目標とすべき姿がある。
頂を目指し、努力をするわけだが、頂だけをみていくと成功しない。
脚下照顧という言葉がある。「いくら理想ばかり唱えても、足元のことができなければ話にならない」ということである。
どうしても、頂だけを見ると足元のことがおろそかになる。経営の基盤づくりも同じである。
基盤づくりは「戦略的経営」と「戦術的経営」の2つの視点が必要である。
■「戦略的経営」と「戦術的経営」
「戦略的経営」は、将来の意思決定に力点を置くスタイルで、「会社の進むべき方向を決める」経営である。
「戦術的経営」は結果(業績)に力点を置くスタイルで、「決められたレールをキチンと走ろう」とする経営である。
観点を変えると「戦略的経営」とは開発・改革であり、「戦術的経営」とは改善・改良・強化、意識・実践定着である。視野でみると「戦略的経営」とは1年~3年、「戦術的経営」とは3ヶ月単位が基本で単月・週間・毎日を押える。
このように2つの経営スタイルは違う。
「戦略的経営」と「戦術的経営」は経営基盤づくりの構築に、大いに関係する。経営学者が唱える経営基本管理の理論では「戦略があるから、戦術・戦闘が生まれる」としている。しかし、私の経験測からみると「戦術・戦闘ができるようになるから、戦略の効果が出てくる」が本質である。
いくら戦略という「灯り」をともしても、歩き方がわからない集団は好き勝手に彷徨う。反面、戦術・戦闘という「戦う事前準備の躾づくり」ができても、行く先を示さなければ、道に迷う。「戦略はあるが戦術・戦闘がない会社」と「戦術・戦闘はあるが、戦略がない会社」では後者のほうが業績がよい。
つまり、あるべき姿から基盤づくりを行うと、ほとんどうまくいかない。その方法は中堅・大企業のやり方である。経営機能が削除されている中小企業では専門部署は少ない。総務機能にしても経理機能と合体状態で「総務・経理部門」であるし、営業部門にマーケテイング機能を持つ中小企業はなかなかお目にかかれない。
つまり、現実的にできるためには、何からやるべきかの本質を押えるべきである。
■経営の技術の理解
経営の技術に高級・低級はないが、難易度はある。基盤が脆弱な中小企業、当たり前のことが当たり前のようにできない中小企業にあるべき姿を押し付けても、拒絶反応が来るだけである。
好転反応であればよいが、社員の視線・態度は「何か、やらされる」と完全に拒絶反応状態である。難しいことから先にやると会社はおかしくなる。やはり「読み・書き・ソロバン」である。これができないのに因数分解もない。中小企業の経営者は短気である。経営基盤を3ヶ月・6ヶ月でつくりたいと願うし、その気持ちもわからないことはない。
しかし考えていただきたい。創業して20・30年と時間をかけても、経営基盤ができなかった「会社という生き物」が3ヶ月・6ヶ月で経営基盤ができるわけはない。
昨今は生活習慣病対策が盛んである。生活習慣病には短期間ではならない。体に負担をかける悪習慣を時間をかけて行ってきたからかかるのである。だから、改善するのも一長一短では進まない。経営の基盤づくりも同じである。
重要なことは、社長と社員と会社の心を一つにすることである。社長はどうして経営基盤をつくりたいのか? 経営基盤をつくれば社員の恩恵は何があるのか? そして会社には何をもたらすのか? を考えねばならない。
これが法人に息吹を入れることになる。意志ある所に道ありである。
■経営基盤の構築
当たり前のことをできるようにし、価値観の違う人間動物園集団を同じ価値感にまとめ、一つの方向性に向かせ、社員・会社のレベルを上げさせる基盤づくりは最低1年は時間を要するのである。
経営基盤を構築する際のやり方は6段階構築方法となる。
段階1は「中小企業に最低必要な基盤の基礎打ち作業」とし、組織として戦う準備の躾づくりである。
段階2は「組織運営に必要なルールと基準づくり」である。いくら高度な経営施策を展開しようとしても、画期的な商品を開発しても、足元のことができなければ、全く意味がない。
段階3は「組織に灯りをともすこと」で会社、そこで働く全社員を迷わせないことである。笛吹けど踊らずというが、笛を吹く前に行く先を明示しなければ、踊ることもできない。
段階4は「組織をルール・基準とシステムで動かす人財づくり」で、実際に経営基盤を動かすために必要な人の問題である。
段階5は「組織の明日の種をつくる商材づくり」であり、これからの戦う武器を作り上げることである。
そして最後の段階6は「戦い方のセオリーづくり」である。
経営基盤づくりは一定時間をかけ構築するために、このことが重要であると認識を持っていただいて取り組む経営者しか、経営の基盤づくりには向かないのである。なぜなら、経営者の飽きず・空かず・諦めずの「3ず」の執念が求められるからである。
しかし、企業規模に応じた経営基盤が磐石になると会社は必ず成長していく。
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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。
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