【新型コロナ時代を生き抜く人事評価】
第3回「人事評価の基礎知識(2)~絶対評価と相対評価」
蒔田照幸氏((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
評価について多く訊かれるのが、「評価には絶対評価と相対評価があると聞くが、どちらが正しいのか」という質問である。
絶対評価というのは、期首にこの位なら普通程度というBの基準を設定し、それを超えればA、超えられなければCというように予め決めておき、期末に結果に基づきABCを決めるというものである。
それに対して、相対評価というのは、期首にはABCの比率だけ決めておいて、期末に、出来具合はどうであれ結果に基づいてABCに区分けするというものだ。分かりやすく図解すると次のようになる。
<絶対評価でABCを決める>
100~80点 A
79~60点 B
59~ C
<相対評価でABCを決める>
20% A
60% B
20% C
(注)点数や比率は一般的なものを例示
絶対評価は能力開発、人材育成に用い、相対評価は昇給や賞与の個人別配分の時に用いるのが合理的である。
日本の人事制度は職能資格制度と責任等級制度(職務等級制度)の大きなふたつの潮流があるが、前者は能力開発を目的に開発された制度であり絶対評価が用いられている。これはこれでいいのだが、処遇にまでそのまま絶対評価を用いているのが問題である。絶対評価の結果を処遇に反映するときには結果を相対評価でし直すという作業が必要なのだ。
それでは責任等級制度ではどうか。この制度では社員の目標などに対しては絶対評価だが、処遇に直結する、例えば成績評価制度では、その結果を相対評価、換言すれば会社への貢献度で評価し直しているのである。
責任等級制度の問題点は、教育制度を重要視しているにも拘らず、それを前面に打ち出していないという点である。これは、ひとえに私たち責任等級制度を提唱してきたコンサルタントの責任だと思っている。この点を大いに反省し、今後のコンサル活動を行っていきたいと思っている。
以上は、仕事での成績の評価を例にとって説明してきたが、能力評価も同じである。
能力評価の話になると、能力には保有(潜在)能力と発揮(顕在)能力があるが、どちらのことかという質問もある。いい指摘なので答えておこう。結論から言えば発揮能力である。
人は一生のうちで保有している能力のうち10%しか使っていないという話は事実ではないようだが、ほんの僅かしか使っていないという話は本当だろう。だから発揮されていない保有能力は確かに存在するのだろうが、人事評価の世界で扱う能力はすべて発揮能力だと考えて間違いはない。
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◆蒔田照幸((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
ミルボン、ユニクロ、九州共立大学、(医)金森和心会病院など約700社、人事コンサル歴35年、懇切丁寧な指導で定評がある。人事評価分野では、2018年に大学と提携しAI投影法を開発。京都府立大学卒。1949年三重県出身。
◎賃金人事コンサルティングオフィス
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