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「面接評価(キャリア採用)~社長は熱い想いを語って意中の人を魅了しよう‼」(蒔田照幸)

【新型コロナ時代を生き抜く人事評価】
第5回「面接評価(キャリア採用)~社長は熱い想いを語って意中の人を魅了しよう‼」

蒔田照幸氏((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役) 

今回は、キャリア採用をする場合の評価について考えてみたい。

応募者が自社において活躍してくれる人材かどうかを見極めようという話だから、新規学卒採用もキャリア採用も基本的には評価方法は同じである。先回述べたように、深掘り面接が有効である。

応募者は他の会社で仕事をしてきた訳だから、それなりの経験を積んできている人たちばかりだ。採用面接となれば、鉄板ネタを用意してくるだろう。それらをじっくりと聴こうという姿勢も大切だが、やはり主導権は面接者が握るべきである。

ここでは、深掘りの仕方で応募者の能力や人柄、つまり誠実で正直かどうか、向上心があるか、また倫理観をもっているかなど重要なことが分かる質問のいくつかを例示しておこう。

「仕事でうまくいったと思う自慢話を聞かせてください」
「失敗した話を聞かせてください」
「上司と意見対立したときはどうしましたか」
「今の会社の社長に対してどう思いますか」
…等、いずれもクライアント企業で使われ、効果のあった質問ばかりである。

この質問をきっかけにして深掘りされてはどうだろうか。じっくり聴くという姿勢で臨むと、いろいろと次から次へと聞きたくなり、自然と深掘り面接をやっていることになる。
 
キャリア採用というと、即戦力という言葉とセットで語られることが多いが、そこに力点を置きすぎると誤ってしまうことがある。

確かに即戦力は必要で、とくに中小企業はそれを望んで募集するわけだが、それだけでは駄目で、これから大きく育っていくことを期待して支援する気持ちがないといけない。30代、40代の人で優秀な人も、そこがピークではなくまだまだこれからの人なのだから。

ところで、経営者の方にお聞きしたい。
「社長面接はどの段階でやっておられますか」

多くの社長は最終面接の段階ではないだろうか。だが、このやり方は正しいのだろうか。大企業と中小・中堅企業では違うと思うが、中小・中堅企業は、最初の段階で応募者と面接すべきである。スカウト採用であったが、このやり方で成功した実例を挙げておこう。

私の友人のひとりに大学の文学科の同級生で、現在はソフトバンク(株)の代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙君がいる。

三重県鈴鹿市という片田舎出身の私は、当時人見知りするほうで入学後1週間くらいは誰とも話さなかったが、学食でランチを食べていたら横に座って「蒔田君だったよね。宮内です」と彼が声を掛けてきた。それをきっかけに下宿も近かったこともあり、二人で会ってよくいろいろなことを話すようになった。彼は文学というより夢の多い青春や人生を語ることが多かったように思う。また、お金もないのによくふたりで四条河原町界隈をぶらぶらしたのも懐かしい思い出である。

1980年頃、彼は、日本能率協会で数多くの企業に経営アドバイスをして多忙を極めていたが、その彼を口説き落としたのはまだ中堅企業であったソフトバンクの孫正義氏である。宮内が言うには、やがて到来する情報社会への想いを熱く語る姿に感動、共感して一緒に仕事をしたいと思ったそうである。

社長の皆さんは、「この人物はできる」と思った人に想いを熱く語っていますか。成功している経営者は、自社の将来像を説明しているのではなく、熱く語り、意中の人を口説き落としているのだ。

組織論としては、「仕事に人をつける」のが原則かもしれないが、大きく成長しつつある企業においては、まだ仕事自体が定まっていないこともある。仕事ができる人は、ほとんどの仕事で成果を出すものである。大いに夢を語って、これはという人を採用し事業を成長させて頂きたい。

★ご意見、ご質問がある場合は、清話会事務局までお願いします。必ず返信致します。
 お問合せ→ https://bit.ly/2NIbVC0

 

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蒔田照幸((株)賃金人事コンサルティングオフィス代表取締役)
ミルボン、ユニクロ、九州共立大学、(医)金森和心会病院など約700社、人事コンサル歴35年、懇切丁寧な指導で定評がある。人事評価分野では、2018年に大学と提携しAI投影法を開発。京都府立大学卒。1949年三重県出身。

◎賃金人事コンサルティングオフィス
 http://bit.ly/2RGZxpl