小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (57)
【経営の技術 全4回】
第2回目「経営の基盤を強くする3つの環境づくり」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
会社の基盤をつくるためには、まず土壌づくりが必要であり、その土壌をつくるには会社の環境を整備しなければならない。環境整備には「公開経営」「全社員参画型経営」「一体感経営」の3つの視点が必要。
●公開経営
「公開経営」とは、必要な情報を隠さずに全社員で共有していく経営のことである。
なぜ、公開経営が必要なのか?
それは経営が「環境適応業」であるからだ。
少子高齢化の人口構造になればシルバービジネスが発展・成長するし、地球温暖化対策が必要になっている現在は、環境・エネルギービジネスが成長する。文明開化が起こり、武士がちょんまげを切ったことで、理容業界が発展した。環境が変化すれば、それに順応していくのが人間であり、会社である。
一方で、現代は「高度情報化社会」である。特にこの10年ほどで、急速に情報化が進展した。今や携帯電話、インターネット、SNSを活用していない人はいないだろう。
結果、世の中には、あらゆる情報があふれている。現代社会では、隠されなければならない情報以外は、「公開」され共有される事が前提となっている。1日のうち多くの時間を費やす「会社生活」のなかで、最低限必要な情報が公開されないとしたら、社員はどのように反応するだろうか?
実生活の平日の中で最も時間を費やすのは、仕事に関する時間。実生活では公開・共有生活を過ごすが、最も時間を費やす仕事で公開・共有がなければ、人間の持つバランス感覚に違和感を感じすぎて、普通の人ならば会社の考え方や施策に疑問を持つだろう。
これからは、公開経営に踏み切れない会社は、社員からリストラされると認識していただきたい。
●全社員参画型経営
参画とは自ら考え、行動し、責任をとることである。
バラバラ集団の組織を統一し、強化するためには、全社員に目的・目標の共有化を図ると同時に、それをどのように進めるかの具体的計画を立案させ、その方法を理解させたうえで、できるように周知徹底することが必要である。
中小企業の組織階層は経営者、役員、部門長、中堅幹部、中堅社員、社員という構成となる。特徴として、社長と社員の間には意識のギャップがありすぎるし、経営陣といえども差がありすぎる。もちろん、給与を支払う側ともらう側では意識の一致など絶対しないが、それでも差はありすぎる。
だから、経営者が何でも自分一人でやろうとする。結果として、どんな経営施策の仏を彫っても、魂が入らない。魂が入らないから、経営者がなお一人で苦労するという悪循環に陥る。
経営者一人では成果に結びつかない経営施策は沢山ある。目的・目標は全社員が同じでも、それぞれの役割は違う。役割が違うから、自分の部門や自分自身は、今、何をなすべきかを社員自らが考えないと、経営者への依存度は高まるばかりである。
そうなると会社を「自分の会社」ではなく、「社長の会社」としか見なくなる。自部門・自分の役割を全員が「我がこと」として考えるから、そこに成果への執着が生まれる。そして達成したときの喜びが体感できるのである。
体感度を強く感じることができる会社は「幸せを創れる会社」である。
●一体感経営
中小企業の成長要因を一つだけ挙げるならば、それは「一体感」である。
日本企業の持つ強みの源泉として、「一体感から生まれる求心力」と「チーム力」といった目に見えないものがあることは、世界の経営学者の共通した見解でもある。
中小企業の経営には、ルール・規則はその通りだが、フイーリングが合わない現象が幾多とある。会社の成長軌道の安定期までは経営者が現場に出て、先導者として朝は早くから、夜遅くまで一心不乱に働く。
その姿に引きずられ、社員も同じように働く。そこには「残業が云々」「休日出勤が云々」という考えはほとんどない。お役所からはお咎めがくるかもしれないが、当事者たちは「自分が好きで働いているので、ほっといてくれ」と思っている。
これは「自分がこの会社を支えている」という充実感で満たされているからだ。働く者としては幸せである。こうした環境のなかで、企業を伸ばす「一体感」は生まれる。
一体感のつくり方はいろいろあるが、触れ合いを通じ、個々の人間性を認め合い、成果をともに喜び、失敗を悔しがる関係がベースである。こうした関係から、少しずつでも「一体感」が生まれれば、その企業は強くなる。
ご参考にしてください。
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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。
こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm
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