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【中堅社員に求められる基礎力アップ 全4回】-①「経営計数」(小池浩二)

小池浩二の【プレイングマネージャーの仕事術] シリーズ(66)
【中堅社員に求められる基礎力アップ 全4回】
第1回目「経営計数」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■数字は日本語で一番正しい言葉

数字とはシビアなものであり、具体的な日本語です。
意志・決定を下す時に必要であり、そのためにも、計数は、細分化し、かつ前年比、予算比を出すことにより、具体的な打開策を打ち出すことができます。

しかし、今現在、計数が苦手だからといって、計数を恐れ嫌がる必要はありません。日本の義務教育には計数のカリキュラムがないから、理解できないだけの話です。

つまり、計数には数多くの言葉・公式がありますが、その全てを理解し、覚える必要はないのです。ただ自分が押さえておくべきポイントは、しっかりつかんでおかねばなりません。

粗利益の意味を理解しよう

売上高が高くても肝心の粗利益が少なければ企業経営に問題が発生します。売上総利益はアラリと呼ばれ、粗利益の略称で売上高から売上原価を引いて計算されます。

そして、売上高に占める売上総利益の比率を売上総利益率で表し、この比率が高いほど稼ぐ力が大きいことを表します。この比率は業種業態で基準に変動があるので同業他社の平均値や前年と比較してアップしていることが重要です。

粗利益率の落ち込みは企業に多大な影響を与えるので、粗利益率の管理に気を付けることが必要です。例えば、年商10億円粗利益率20%の会社が粗利益率が18%にダウンしたとすると今までと同じ粗利益を稼ぐには11.1億円の売上が必要となります。

粗利益率が下がれば、売上高を相当に上げなければ利益は生じないこととなり、経営が苦しくなります。また、粗利率は商品力を表す指標でもあります。粗利率が平均値より悪いということは、商品力がないということです。

粗利率を上げるには、付加価値の高い商品を開発し、付加価値の高い販売チャネルを開拓し、付加価値の高い営業シフトを敷く必要があります。

粗利益は利益の第1段階であり、この利益が多いと経営は楽になります。

■経費の性質を理解しよう

会社の経費を大切に扱う人は家庭でもお金を統制できる人です。一事が万事、会社で、経費のむだ使いをする人は、家庭でも、同じです。

お金は使うものであって、使われるものではありません。経費は第三の利益ともいわれ、そのタイプは次の3種類になります。

① 売買利益…商品等、販売による利益。
② 仕入利益…仕入値引、仕入割引、リベートによる利益
③ 経費統制利益…経費をコントロールして出していく利益

①は活動を行う事で稼ぐ利益、②と③は管理することによって叩き出す利益。いかに少ない諸経費で適正な利益を確保していくのかがポイントです。

経費は、対予算比、対前年比、対売上比の3つの指標、傾向でチェック、コントロールしていきます。経費も「今月、今年は、いくらかかった」だけではダメです。比較分析し、その原因がどこにあるのかさぐり出し、オーバーしているものについては、対策を打ち出し、歯止めをかけることが大切です。利益拡大は売上高だけでなく、経費の使い方にもポイントがあります

 

継栄の軸足

 
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■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
  http://www.m-a-n.biz/ 
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