【講演録】「新型コロナ収束を見据え、今後の世界を読む」(真田幸光)

~中国包囲網と、日本の未来へ向けた構想 [ 特集カテゴリー ]

【講演録】「新型コロナ収束を見据え、今後の世界を読む」(真田幸光)

真田幸光(愛知淑徳大学教授)

1957年東京都生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、東京銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。84年、韓国延世大学留学後、ソウル支店、名古屋支店等を経て、2002年より現職。社会基盤研究所、日本格付研究所、国際通貨研究所など客員研究員。中小企業総合事業団中小企業国際化支援アドバイザー。

■いざとなれば鎖国してでも

 生き残れる国づくりを

今年1月に、SJCの例会でお話させていただいたとき、コロナは3年は覚悟しなくてはいけない、3年よりも早く収束すれば見っけもんだと考えるべきです、と申しました。これが私たち国際金融筋の基本的な考え方です。

こうした状況が3年も続くと、価値観の変化が、どうしても生まれてくると思います。ビジネスで言えば、お客様の消費行動が変わるはずです。だから、このコロナの問題で、皆さんの価値観が変わる、それによって消費行動がどのように変わるのかということを想定して、わが社のビジネスの延長線上では何ができるのか、できなくなるのかを想定しながら対応していかなくてはならない時代だと思います。

例えば、旅行業界。海外へなかなか行けなくなりました。そこで旅行業界が仕掛けている一つのビジネスモデルとして日本の有数の観光地に1週間~10日ぐらいのパックを作って、高級ホテルで10日間連泊してもらって、高級なお食事をしてもらいながら、その地域のさまざまな観光地やイベントに参加していただくような高級なプロジェクト、プログラムを作って集めてきています。

それから三越伊勢丹グループは、百貨店がいま大変な中で、例えば、お得意さま係という人がいて、お客様のどういうものをお好みで、どういう価格帯で買われるかを皆知っている。そういうお得意さま係がお客様とオンラインでつながって、いまこういうものがあります、こちらもありますと勧めていくショッピングを始めて、これが意外に当たっている。

ですから、3年続くということを覚悟した上で、その上でいろんな仕掛けをしていく、そういうバイタリティーのある生き方が、いま私たちは求められているのではないかと思います。

いま、二極化が激しいと思います。いわゆる上位の人たちと下位の人たちの格差が開いてきている。一つ分かりやすく申し上げれば、資産効果を上げられるような人たち、つまり株、不動産、債権などを持ってらっしゃる方は、株の価値が上がるからもっと余裕ができます。でも、持ちたいと思っても元手がないから買えない、あるいはうちの会社倒産しちゃったからお金を使えないという人も出てきています。

持つ者と持たざる者の格差が開いてきてしまってる。そういう中で、この上の人たちだけを対象にしたビジネスをやっていくと、社会の不安が起こってくると思います。不満から不安が起こってくる。ですから、私がご縁を持ってる企業の皆様がたには、いまその上の人たちをターゲットとしたビジネスモデルももちろんやって下さいと申し上げています。けれども、それだけではなくて、もっと社会の下を支えてるような人たち向けのビジネスも、コミットできるようなビジネスモデルがあるのだったら、そこにも知恵を払っていただけないか。ここにこそ日本人の得意としている、いいものを安く売るという精神で、モノやサービスを提供することを今、やっていくべきではないかと思うのです。

いいものを安く提供するのを、日本の国内で困っている人たちに提供していって、それで日本社会の再安定化を図っていくことをまず始めて、そして国内に安定が戻ってきたところで、もう一度国際社会とのしっかりとした連携を考えていっても、遅くはないのではないかと思うのです。

日本の政治にはそういうものを求めていきたいし、そして、日本のビジネス界の皆様がたにも、そういう意識を持って、もう一度日本の国内で必要なモノやサービスを適正価格で提供して、みんなが満足できるような社会に戻していくことができないかと、お話ししています。

上澄みの人たち、お金持ちだけをターゲットとしてビジネスを仕掛けてる、これはもちろん重要です。やるべきだと思います。けれども、そうじゃないところも対象にしながら、わが社としてはそこにどういうビジネスを仕掛けていけるのか、そういったところを考える。そのときに、繰り返しになりますが、こちらも損しないでいいものを安く提供できるような形で、知恵を使っていくということをやっていけないのかなと、非常に強く考えているのです。

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【講演録】「アフリカのビジネス概観と南アフリカの今後の可能性」(石原圭昭)
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【講演録】「アフリカのビジネス概観と南アフリカの今後の可能性」(石原圭昭)

「アフリカのビジネス概観と南アフリカの今後の可能性」

石原圭昭(よしあき)

(日本貿易振興機構(ジェトロ)ヨハネスブルク事務所長及びアフリカ総代表)

 1990年に日本貿易振興会(現;日本貿易振興機構)入会。東京本部勤務の他、山形事務所、大分事務所所長も務め地域企業の輸出促進を支援。93-98年ポーランドのワルシャワ、2007-11年トルコのイスタンブール所長として勤務。2019年9月より南アフリカのヨハネスブルクに赴任し、現職として活躍。

■ジェトロの事業概要と、アフリカにおける拠点

 私は1990年にJETRO(ジェトロ)に入社し、山形など国内と、海外はワルシャワ、イスタンブールに駐在し、今はヨハネスブルク(南アフリカ)で3ヶ国目になります。

 ジェトロは経済産業省の傘下の貿易及び投資を促進する機関で、海外に76事務所(55ヶ国)、国内には全都道府県にあります。各県庁では国際的な展開のお手伝いをしてほしいということで、自治体からも予算をいただきながら運営をしている政府系機関です。

 主に4つのミッションがあります。一つには、海外企業の対日投資の促進。今は特にイノベーティブなスタートアップの誘致に注力しています。海外には優秀なスタートアップ企業がたくさんありますので、それを日本に入れて、より日本経済の活性化を図る。

 次に、各都道府県含めて食品の輸出が大きな目標の一つになっていますので、その支援。ここがジェトロとしては一番やっているところかなと思います。そして、食品以外の中堅中小企業の海外展開の支援。ここも南アフリカを含めいろいろな事業を行い促進しているところです。

 あとは調査です。われわれの住んでいるアフリカの情報を皆さんにお届けする。また、パートナーとなりうる南ア企業を探すということも行っています。基本的にすべて無料で対応させていただいております。ただ、個別の企業の情報提供等になりますと調査する内容によっては有料でやらせていただいております。

 アフリカには9つの事務所があります。私は、ジェトロのヨハネスブルグ(南アフリカ)におります。北から、ラバト(モロッコ)、カイロ(エジプト)、コートジボアール、ガーナ、ラゴス(ナイジェリア)、エチオピア、ナイロビ(ケニヤ)、モザンビークです。モザンビークは天然ガスの埋蔵が発見され、日本企業、特にエンジニアリング関係の日本企業が進出してこられています。ただ、北部では武装勢力が出てきており、陸上の天然ガスの開発準備が止まっています。

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【講演録】「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(応用編)(小島健一)

-発達障害傾向のある社員とどうコミュニケーションを取り、戦力化するか [ 特集カテゴリー ] ,

【講演録】「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(応用編)(小島健一)

 

「発達障害の傾向のある人を雇用したら」(応用編)

■紛争を予防するだけではなく、ピンチをチャンスに変える発想で

最近は、労働事件といわれる裁判の中で、社員の健康やメンタルヘルスに関わる事件が半数を超えています。それくらい、心と体の健康についての正しい知識やノウハウがないと、人を雇って働いてもらうことが難しい時代になっています。私も、お客様の人事労務のご相談に対し、多くの部分をこうした産業保健のコンサルティングに充て、さらに、人事担当や管理職をカウンセリングやコーチングで支援しているのが実際です。

女性の活躍はもちろん、外国人、障害者の雇用に始まり、がんやさまざまな生活習慣病、難病に罹った方でも働きたいという、病気と仕事の両立支援が、今非常に重要になってきています。今、特に30代の女性で不妊治療をしておられる方が増えていますので、女性に活躍してもらうためには、それもカバーしないといけない。そしてLGBT。こういったさまざまな、まさに多様性のある労働者を戦力とし、組織に包摂してメンバーとして活躍してもらうことが人事の本当に大きな課題です。

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