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新春特別編:「西暦2019年のキーワードは『だけ・にしかTP』」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (37)
新春特別編:「西暦2019年のキーワードは『だけ・にしかTP』」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

西暦2019年の初春を謹んでお慶び申し上げます。

新年にあたり、経営全般の基本方針を示唆させていただいております。
西暦2019年のキーワードは「だけ・にしかTP」
「だけ・にしかTP」とは
〇だけTP
〇にしかTP に分かれます。

■だけTP

●今だけ
●ここだけ
●あなただけ
のマーケテイング視点を具体的にしていくT=ターゲティング、P=プロモーションです。

商品・サービスが基本価値だけで終わるとコモディティ化となり、顧客の視点は商品価格の安さに目が向きます。成熟社会の中小企業運営の基本は、他ができない手の込んだ技術・サービスの展開です。理解しやすいように極端に説明すると、顧客が、自社の価値を「他に代替えができないもの」と評価すると、他社との価値比較は意味を持たなくなります。

比較するモノがなければ、販売シェアを取りに行くために値引きする必要がなくなり、値決めを自社でできます。このような視点で商品開発・サービス展開する視点が、
●今だけ
●ここだけ
●あなただけ
のマーケテイング視点となります。

その切り口が
●限定生産して、特定の地域にのみ販売する
●高品質の(または他社にない)材料を使用した高級製品を製造する
●材料、原料が、通常の性質以上の特徴を持っている
●高度な加工技術が、活用されて製造する
●この人から買える
●多くの優れた部品から構成された精巧なシステム製品である
●この人がつくった物
等です。

この【3だけマーケテイング視点】の本質は、商品サービスの価値伝達の手段です。価値の伝え方に工夫が必要になっています。顧客は安くすれば買うわけではなく、買う理由を発見するから購入しています。これがストーリーの伝達です。

■モノ売りからコト売りへ

モノ売りに対する消費者は、「同じものなら安いものがよい」と判断を下します。

日本の成長社会で、一番物が売れた価格ゾーンは中庸ゾーンです。例えば、注文住宅も坪40万や60万より、50万円台が一番売れました。松竹梅では、竹が圧倒的に売れた成長社会でしたので、製品・サービスを提供する企業側も他社と大差ないことをやっておけば、それなりに成長できました。

そして時は経ち、現在は成熟社会に突入して、物は余っています。

モノ売りが価格競争に巻き込まれる要因は、
〇次から次への新商品のモノアピール 
〇どこよりも安い価格アピール
〇求めていないスペック(仕様)アピールの羅列競争
をし過ぎるからです。

同じようにしか見えないモノ(製品・サービス含む)は、量り売りの対象にしかならないので、価値はかなり低くなります。そこで登場したのが、モノの価値を伝える「コト売り」です。

〇提供するモノは、お客様にとってどんなメリットを提供できるのか?
〇提供するモノは、お客様にとってどんな意味・価値があるのか?

この視点で、興味を持つ人にそのモノの価値を伝えることにより、売れていく視点です。

成熟社会はモノを売る時代ではなく、価値を伝える時代に変化しました。

■そしてコト売りから「ヒトがもたらす生涯マーケティングコトサービス」へ

コト売りで提供するモノの価値が理解していただき顧客になっていただきました。問題はこれからです。自社や自店舗と長らくお付き合いすると、顧客にどのような生涯マーケティングコトサービスを継続して提供できるのか?

生涯マーケティングとは、選んだ顧客に対して生涯お付き合いをしてもらえるように選んだ顧客に選び続けられるように、コトサービスの継続性を図ることです。生涯マーケティングの視点は、単発マーケティングと比較すると一人の顧客に対する接点密度、提供サービスが濃くなり、対経費効果が高くなるといわれます。

コト型商品を売るには、そもそも何がその商品の価値であるのかを顧客に知らしめなければなりません。

コト型商品には、ものには開発に込めた「思い」や「こだわり」、それを形にするために研鑽を積んだ「素材や技術」、何より使い手への「思いやり」が存在しています。

そもそもコト型商品を提供する企業は、顧客に対しての考え方が明確であり、世の中すべての生活者を顧客としてとらえていません。すべての生活者が満足する商品を提供することは当初からできないということを認識した上で事業を行っています。

自社が選んだ顧客との生涯マーケティングの構築が重要です。

■にしかTP

●人間にしか
●我が社にしか
●私にしか
の開発視点を具体的にしていくT=テクノロジー、P=プロダクトです。

Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA(読み)がーふぁ

現在の世界で最も影響力があるのが、これらの4社。これら4社は私たちの生活とビジネスのルールを根本から変えつつあり、これからも変え続けます。

〇グーグル……「現代人の神であり、我々の知識の源である」として、検索エンジンに入力される質問は1日に約35億。
〇アップル……ビジネス界の常識を打ち破って、低コストの製品をプレミアム価格で売るのに成功
〇フェイスブック……世界人口75億人のうち、12億人が毎日35分はフェイスブックを見ており、普及率と使用率を基準にすれば、同社は人類史上、最も成功している企業
〇アマゾン……ロボティクスで武装した倉庫付きの検索エンジン、そして地球上最大の店舗

4社に共通するのは、いずれもプラットフォーム企業であることです。この企業以外にも・AI、・IoT、・ロボット、・自動運転等とオペレーション変革が続出しています。

重要なポイントは、ビジネスのスタイルは違えど、求められるビジネスの本質の姿は他社が真似しようとしても、諦め感が出るぐらい手間隙がかかっていたり、専門性が高いことです。

もちろん、GAFAと同じ土俵で戦う必要はありません。我が社にしかできないTP(テクノロジー・プロダクト)をどのように展開するのか?

○わが社が特化できるマーケットサイズを見つけ、どう展開していくのかが重要
○自社の経営資源・固有技術を掘り下げて見つけていく
○付加価値が高いとは利益率が高いことで商品力の強さを示す
○高付加価値=小量生産=高利益率=手の込んだサービス
○顧客属性を細かく絞り込む

顧客は安さを求めます。だから安くしなければならないと考えた時点で、その中小企業経営は負けになります。

私にしかできないTP(テクノロジー・プロダクト)をどのように展開するのか? 

成熟社会ではプロしか生き残れません。本格的21世紀(複雑系社会……・正解のない社会)の到来で変化し、現在ではミドル社員(年齢30-40歳前後)にも、この能力が求められています。

優秀な人とは、真摯に自分のことを考え、取り組む人だと確信します。現代は、自分の「持っている能力」「使いたい能力」「持っているリソース」をベースに、職務や役割の棚卸しを行い、自分自身のキャリアとキャリアビジョンをプロデュースする時代に入っておりますので、私にしかできないTPも思考してください。

西暦2019年はご存知のように
〇新天皇即位
〇消費税アップ
等ありますが、基本的に2018年からの流れは変わらないと考えます。

ご覧の各企業様においては、経営者・後継者・役員・部門長層を中心として各企業様が精励されることをお祈り致し、新年のご挨拶とさせていただきます。

 

★本年2019年のマイスターグループは、
〇プレイングマネージャーシリーズ書籍 第3弾出版決定!
仮称『実録 プレイングマネージャーの仕事 実例編』を3月に出版します。日本では珍しい本のページにQRコードを埋め込み、QRコードをスマホで読み取ると本の内容を小池が動画で説明したり、実例企業のプレイングマネージャーや経営者の方が体験談を説明される内容です。

〇本格的に動画配信によるe-ラーニングサービスの開始
弊社は昨年、別法人 OJTチャンネル株式会社を設立しました。中小企業が2025年時点でも、優秀な人財を採用・育成できることを念頭に、昨年より本格的に動画配信によるe-ラーニングサービスを提供させていただきます。

これからも多くの皆様にご愛顧されますように鋭意努力して参りますので、宜しくお願い致します。

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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