小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (45)
【コンセプトを立てたマーケテイング戦略 全4回】
第3回目「あった市場・ある市場、そしてあるはずの市場」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■3種類の市場戦略
●あった市場……時代の変化、消費者ニーズの変化で消滅した市場
●ある市場……現有、既存市場
●あるはずの市場……将来生まれる可能性のある市場
「あった市場」は、本質的には市場ではなく、企業が無くなること。代表的な市場にレコード針がある。ナガオカというメーカーは、今では独占状態。つまり、圧倒的に強い会社が生まれるのがこのパターンである。
「ある市場」は、成熟化・少子高齢化・人口減少化・グロバリーゼーション化で苦戦をしているケースが多い。
「あるはずの市場」は、
・創造(新しい市場を創りだす)
・開拓(できたばかりの市場を広げる)
・深化(市場を狭く深く掘り下げる)
・蘇生(勢いの衰えた市場をよみがえらせる)
・シフト(従来の市場と違った市場へ振りかえる)
・代替(機能や材料の変化で変わる商品、サービス)
がキーワードとなる。
■リテンション・マーケティング
先日、ある会社の経営計画発表会に参加させていただいた。
その会社は、従業員70名前後のIT・WEB系会社で直近の売上高が9.5億で前年対比132%の実績。過去の売上高の流れは、9.5億(直近)・7.2億・6.6億・6.2億と過去3年は横ばいだが、直近で大きく成長している。
この会社が新中期ビジョンの全社の戦略目標としてリテンション・マーケティング(顧客維持マーケティング)を打ち出している。
リテンションとは、保持、維持、記憶の意味で、リテンション・マーケティングは、顧客維持マーケティングとされる。1年間における既存顧客が離れる比率を顧客離反率といい、その逆数が顧客維持率という。
●百貨店で30%(維持率70%)
●スーパーマーケットで15%(維持率85%)
●家電店で50%(維持率50%)
が平均的な数値になっている。
成熟市場では、既存顧客の維持は安定的な利益確保の戦略とされている。つまり、新規顧客より既存顧客から利益を獲得するほうがマーケティング費用は5分の1で済むとの概念があり、既存顧客の利益貢献度合いが高い理由は、
●販売費用削減効果(新規顧客に販売するより費用が低い)
●販売価格安定(やたら値引きする必要がない)
口コミによってもたらされる紹介売上アップがあるからである。
この顧客維持マーケティングはこれからの一つの戦略になるので要注意だ。
(出典・引用先;朝日新聞コトバンク)
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