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【戦うための武器を創る固有技術 全4回】-①「強みを活かす戦いが戦いの原則」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (47)
【戦うための武器を創る固有技術 全4回】
第1回目「強みを活かす戦いが戦いの原則」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■看板事業の売上高比率が54%から1%未満へ

富士フイルムは、1996年頃から本格的普及が始まったデジタルカメラの影響で、写真フィルムの需要は世界的規模で2000年をピークに年率10%超のペースで下落し、同社の写真フィルム売上高も毎年200億円のペースで減少し、11年度の関連事業の売上高は全体の1%未満となる。

■技術の棚卸

●トヨタは車がなくなったらどうなるのか?
●新日鉄は鉄がなくなったらどうなるのか?

当時の古森社長は、幹部に対して強烈な危機感を意識させ、新しい成長事業の育成に舵を切った。それが「技術の棚卸」と呼ばれた2年がかりの事業構造転換だった。

そのプロジェクトチームの一員だった同社OBは「やれそうか、やるべきか、やりたいかの3つが棚卸のポイントだった」と振り返る。

●最初の「やれそうか」は技術的裏付け
自社固有技術の応用で、新事業分野で競争力のある製品を開発できるかがポイント。これで候補に挙がった新事業をふるいにかける

●次の「やるべきか」は業界トップになれるかの検証
新しい事業分野においてオンリーワンを開発できるか、あるいは競合他社より優れたベストワンを開発できるかを徹底的に検証し、×印の事業を排除

●最後の「やりたいか」は「会社の思い」
新事業として参入した医薬品やエイジングケア化粧品の場合は、「総合ヘルスケアメーカーになりたい」との思いが決め手

■勝てる固有技術

同社開発部門関係者は
「技術の棚卸により化粧品事業への参入が決まったとき、先発メーカーがいる市場に最後発で割り込むためには、当然オンリーワンを投入しなければ成功しない。ベストワンでは失敗するとの確信があった。そこで着目したのが当社のコラーゲン技術だった」
と説明する。

富士フイルムには、コラーゲン技術の膨大な蓄積があり、さまざまな種類のコラーゲンを製造する固有技術があった。人の皮膚の約70%を構成する「コラーゲン」は、写真フィルムの主成分であり、この応用で開発したのが、ヘビーユーザーが多いスキンケア化粧品のアスタリフトの開発だ。

■固有技術

10年以上創業している企業には、必ず固有技術がある。あるから10年操業できている。

その固有技術の視点は、
●ものを生産するための技術
●サービスを生み出すための技術
●個々の分野での特有の技術
●中核となる技術

戦い方は、「弱みを克服する戦いはマイナスをゼロベースにする戦い」と「強みを磨いて行く戦いはプラスの積み上げができる戦い」があるが、基本は強みを伸ばす戦いのほうが成果は出しやすい。

その戦い方のキーポイントになるのが固有技術だ。

●どこにもない・できない固有技術
●他社にもあるがずば抜けている・優れている固有技術を見つけることは、戦略構築の一つの方法である。

 

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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