小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (51)
【特別号 コロナ対策】
第1回目「コロナ終焉までは資金繰り中心の経営」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
資金繰り中心の経営とは営業利益より預金現金主義のスタイルです。つまり資金を中心にして、営業・製造・管理・人をみることです。
●売上高減少による資金繰り悪化のステップ
(1) 売上高減少、(2)粗利益率低下、(3)粗利益額減少、(4)経費過剰、(5)在庫過剰、(6)赤字、(7)資金繰り悪化、(8)運転資金不足、(9)借入限度超過
の順番が基本であり、自社の現在地を把握すること。
●資金は会社の血液
貨幣経済の本質である「資金無くして、経営なし」を体現することです。 資金繰り中心の経営とは、資金を中心に据えて、経営要素・機能である
・人
・もの
・管理
・営業
・生産
・管理
を考えることです。
「ものづくり」「売り」に強くても、資金繰りに弱い経営者はいます。資金は会社の血液です。人間の体内から30%以上の血液が流れると「出血多量」の死が待っています。
同じように総資本の30%以上に総借入金が増えると企業の血液も詰まってきます。詰まるとは循環しなくなることです。最適な循環を心がけて、まずは今の自社に必要なバランス策を考えることです。
●経理が羅針盤機能を持つ
経営・経理を中心として営業・生産仕入れ・労務をみることです。従来は販売・生産という活動部門が社内での人員も多く、力関係も上のことが多いです。
つまり、資金から営業をみると押さえねばならない点は、
① 売掛金の早期回収
② 新規取引時の与信限度設定の厳格化と担当者判断に任せないこと
③ 資金回転の早い商品の重点販売 等々
資金から製造をみると押さえねばならない点は、
① 残業代を発生させない
② 売れている製品の原価低減
③ 仕入条件・仕入先の見直しによる資金回転の改善 等々
資金から管理をみると押さえねばならない点は、
① 厳密な販売予測による最低3か月先までの資金不足の把握
② ①に基づく出金抑制策と入金促進策の実行
③ 資金調達の幅広いチャネルの開拓
④ 出金を防ぐための決算対策
等々であります。
売上計画も損益の視点からではなく、資金繰りの視点から売上目標を設定し、損益ではなく資金を中心に対策を打つことが資金繰り中心の経営です。
●経営のキャステイングボードを現場に握らせない
経済状況変化時に「経営のキャステイングボード」を現場に握らせるから「資金不足地獄」に入り込むのです。コントロール機能を会社に入れ、徹底することで、運転資金回転の改善はできます。
売上高、営業利益が減少しても、資金のコントロール機能ができると資金は回っていきます。要は資金の入りと出のバランスをコントロールすることが大切ということです。
入りには無関心で「どうせ社長がやってくれるだろう」、出には、無頓着で経費を使うし入金がないのに支払は気前良くやる。これでは、資金不足地獄に陥る体質となります。これを是正していくのが、「資金繰り中心の経営スタイル」です。
ご参考にしてください。
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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。
こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm
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