小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (61)
【組織を動かすポイント 全4回】
第3回目「企業の価値判断・行動判断基準の語り部になれ」
小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
■会社が成長するほど報告・連絡・相談は欠かせない
会社運営においては、経営者と役員・幹部陣が価値判断・行動判断基準をすり合わせることが大切である。
いくらトップが号令をかけても、役員・幹部陣が協力者となり実行推進役とならなければ、「笛吹けど踊らず」の状態となる。このような状態では、社員は迷い、組織の統一態としての力が発揮できない。
会社が成長し、規模が大きくなってくると、社長とともに寝食を忘れずに働いてきた幹部は経営者との距離を遠く感じることがあり、トップに対する報告・連絡・相談を行わないケースが多くなる。
しかし本当は逆なのだ。規模が拡大すれば社長は現場の状況が見えなくなり、孤独感が増す。だから、幹部陣は以前よりさらにこまめに報告をしなければならない。逆説的な言い方をすれば、報告をする人間ほど社長の信頼を勝ち取ることになるのだ。
■すり合わせるべき10の価値判断基準
では、そのトップと幹部陣がすり合わせるべき価値判断の基準とは何か?
① 経営理念と自社の存在価値
② 全社ビジョンの理解および納得
③ 経営計画・経営目標
④ 人づくりの基本方針
⑤ 商品づくりの基本方針
⑥ お客様との関係づくりの基本方針
⑦ 社内の諸システムに関する基本方針
⑧ 判断基準となる基本的な考え方
⑨ 人事・人材評価の基本的な考え方
⑩ 役員・幹部に対する期待(値)
トップと幹部は以上、10項目の価値観・判断基準をリーダーの意思として社員に伝えねばならない。親子の関係においても、親が大人としての価値判断基準・行動の仕方・振る舞い方などを教えることによって子は自立していく。それと同じことである。
もちろん、人間の場合は生まれてから一緒に親と生活を共にするので、親の価値観で躾けられるし、その価値観はイヤと言うほど身に染み付いている。しかし、中小企業では経営者の価値判断基準を社員に移植させる工夫が足りない。
例えば経営数値の話をしても、社員は計数の意味がわからないために活用できない。多くの幹部も何をどのように判断してよいのかわからないから、結局経営者にお伺いを立てるようになる。
会社の最高意思決定者は経営者である。その経営者の価値判断基準を多くの社員が理解することにより、社員は自ら判断できるようになる。そして社長への依存度は低くなる。そのために重要な役割を果たすのが幹部なのである。
■ 小池浩二氏 (マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)
実践に基づいた「中小企業の基礎打ち屋」として、中小企業成長戦略のシステムづくりを研究。これまで500社以上の中小企業経営に関わり、経営診断、経営顧問、研修等を実践。多くの経営者から「中小企業の特性と痛みをよく理解した内容」と熱烈な支持を得ている。
http://www.m-a-n.biz/
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