武者陵司の「ストラテジーブレティン」vol.53 「コロナ忌明けの夏、日本株の時が来た」 武者陵司氏((株)武…
年: 2022年
「フランスはなぜショックに強いのか」(7/7、瀬藤澄彦氏、ランチセミナー)
第14回「中小企業の社長は皆同じ人種」(小池浩二)
■中小企業は「ないない尽くし」の組織
組織とは、同じ考え方を持つ者が目標の共有化を図り、その実践に向けて方策を考え、ルールと基準に基づいて、個々の役割に応じて動く集団である。そして個々の人間性を認め合い、成果をともに喜び合う関係である。
人が2人以上集まれば、組織となる。政治・宗教・スポーツの世界など、あらゆる世界に組織がある。ほとんどの組織は、価値観が似ている人が集まり、構成されているからまとまりやすい。まとまりやすいから、冒頭の条件を容易にクリアすることができる。
しかし、中小企業は例外である。中小企業は、いわば「人間動物園」だ。たまたま同じ職場で働いているが、価値観が違いすぎたり、目標がバラバラだったり、行くべき方向性がわからず迷っていたりする。
しかし、中小企業は人なし、物なし、金なし、管理なしという「ないない尽くし」の環境に置かれている。さらに、一人2~3役の兼任主義で運営されているがゆえに、組織が持つ機能の深い掘り下げができず、日々、悪戦苦闘している。
組織としての骨格バランスが崩れているため、当たり前のことが当たり前のようにできない。頑張ってはいるが、頑張り方が違うために成果が思うように上がらない状態になっている。
中小企業の基盤はこのように脆弱である。基盤が弱いために慢性的に何かしらの病気を抱えたまま会社運営をしているのが中小企業なのである。それでは、その中小企業を運営している経営者について説明していきたい。
第15回:「事業継承ガイドライン」(河本 和真)
##多様化する選択肢から親族外の承継が増える
前回お伝えした通り、帝国データバンクが実施した、全国企業「後継者不在率」動向調査の2021年版では、後継者不在率は61.5 %と調査を始めた2011年以来最低となりました。不在率は4年連続で減少しており、企業が後継者を決定するというトレンドが顕れています。コロナ禍により自社事業について見つめなおす経営者が増えたことも背景の一つとして考えられるでしょう。
同調査では、事業承継の主流派今も変わらず親族による承継であり38.3%を占めますが、この割合は年々少しずつ低下しています。後継者候補が決定している企業に関する調査でも、最も多いのはご子息を候補としている企業で38.5%を占めますが、これについても年々減少しています。
第十回 ~下り酒と杜氏~ 田崎 聡
摂津の伊丹では、17世紀はじめから酒を江戸へ出荷し、鴻池新右衛門が清酒の江戸送りをはじめたのは慶長4年(1599年)と伝えられている。江戸時代最高の酒造り技術書といわれる『童蒙酒造記』(1687年頃)は、鴻池流の技術を中心に「寒造り」という低温発酵を薦めている。その中の「伊丹流」では、上槽前に焼酎を醪の一割くらい加え、酒の日持ちをよくするという、「柱焼酎」すなわち粕取焼酎を使用したことが書かれている。この時に、刀傷の薬として各藩に「柱焼酎」としての粕取焼酎が注目され広まった。その「柱焼酎」は、現在の「本醸造」のはしりである。この「寒造り」を酒造りの基本とした技術が広まり、農閑期の寒い時期に、丹波の農民が灘など大量の酒造りが可能な地区に移り、酒造りに腕を磨いた。これが丹波杜氏の始まりとされている。
この頃から、上方から江戸へ運ばれ消費された酒のことを「下り酒」と言い、伊丹や灘、山城、河内、播磨、丹波などで造られた酒が運ばれた。また、伊勢、尾張、三河、美濃で造られた酒を「中国もの」と言った。下り酒は、17世紀後半は「菱垣廻船」、酒樽専門の「樽廻船」は明治の中期まで海上輸送された。下り酒は、造り酒屋>江戸酒問屋>酒仲買人>小売酒屋>消費者という流通で送られ、江戸の下り酒問屋のある新川、茅場町、呉服町などで仕切られた。この時に活躍したのは、近江商人であることは、間違いない。
政界再編物語① 三沢 明彦
政界再編物語①
リクルート事件、消費税導入への反発で、竹下登首相が平成元年(1989)年4月に退陣した後も、政治不信は深まる一方だった。平成5年8月には細川護熙首相の8党連立内閣が誕生し、自民党はついに政権の座から転落する。権力闘争を生き抜いた政治家はしぶとい。自民党は社会党委員長の村山富市を首相に担ぎ、自社さ連立政権を誕生させる奇策に打って出たのである。平成がスタートした頃、政界は混迷の渦の中にあり、その中心にいたのは、金丸信と小沢一郎、二人の剛腕政治家だった。まずは〝政界のドン〟といわれた金丸の転落劇から話を始めることにしよう。平成の政界再編物語、これは序章である。
第38回『できて当たり前の基本動作を身につけさせる』(小池 浩二)
基準、ルールづくりは、まず「基本動作」を徹底させること、そしてそれができたら誰がやっても同じ結果が出るような「標準化」を実施することです。
「基本動作」とは、ビジネスの世界ではよく聞く言葉です。しかし、その意味合いをよく理解している人・会社は多くありません。会社の仕事の80%は、規則性のある仕事の繰り返しだと言われています。この規則性のある仕事を円滑に進めるのが基本動作です。
基本動作は、やる気、実行力・継続力があれば、誰でも・いつでも、どこでも業績を上げることができるものです。しかも費用はかかりません。反面、意識の継続・体得がなければすぐにやらなくなるのもまた、事実です。そしてその乱れが引き金となり、業績が下降していきます。
代表的な基本動作を説明致します。
【第27回】SDGsの基本とビジネスへの関わり (菊原 政信)
老舗百貨店のDX戦略と具体的取り組み
戦後の近代流通に関して百貨店の役割は大きく、人々の暮らしの向上と繁栄に貢献してきました。しかしながら時代の変化と共にショッピングセンターや専門店、21世紀になってはインターネットの発達により、いつどもどこでも好きなものが買える時代となってきました。それに伴い百貨店店の売り上げは1991年をピークに年々減少して21年では4兆4千億と最盛期の半分以下となりました。
この数年、コロナによるインバウンド需要の消失も加わり更に厳しい状況が続いてきましたが、その中でもこれからの時代への展開を踏まえて新たな動きも出てきました。そこで、今回は4月に次世代流通の研究会Next Retail Labのフォーラムに登壇して頂いた株式会社三越伊勢丹営業本部オンラインストアグループ長、北川竜也氏の講演内容を踏まえてこれからの百貨店の取組みについて考察していきます。
「ミャンマーの内部情勢と今後」(4/7)永杉 豊氏
■清話会セミナー
「ミャンマーの内部情勢と今後」
軍事政権下のミャンマーと日本はどう付き合っていくべきか
永杉 豊 ながすぎ ゆたか(ミャンマージャポングループ会長)
MJIホールディングス代表取締役、NPO法人ミャンマー国際支援機構代表理事。学生時代に起業、その後ロサンゼルス、上海、ヤンゴンに移住し現地法人を設立。2013年6月より日本及びミャンマーで情報誌「MYANMAR JAPON」を発行、「MYANMAR JAPONオンライン」とともに両メディアの統括編集長も務める。
■ミャンマー国軍の現状
一枚岩ではないASEAN
今、ウクライナ危機がとても注目度が高くミャンマー問題の報道の数が減っています。しかし依然として悲惨な状況が続いてます。
私がミャンマーへ2013年に引っ越し、5月に現法設立、そして6月に『ミャンマージャポン』という日本語情報誌、英語・緬語情報誌の『MJプラス』を発行しました。現地の情報に接する中で、ミャンマーは本当に無限の可能性がある地だなと思いました。
弊社は2019年秋にミャンマー初の本格的なTVショッピング事業も開始し、日本の持ち株会社が2023年にシンガポール証券取引所に上場する予定でした。1回目、2回目の増資にも成功しましたが、20年にコロナ、さらに21年には想定外のクーデターが起こり現在に至ります。
2月1日の早朝にクーデターが起きたのですが、当日は朝から日本のほとんどのTV局から取材の電話をいただきました。しかし取材に応じてしまうと、現地にいた日本人社員4人、ミャンマー人社員30人の命に危険が及ぶと思い、全てのメディアの取材はお断りしました。ところが3月3日、1日に120人以上が国軍に虐殺される事件が起こりました。一般市民がデモをしている最中に、国軍が実弾を使って人を殺す、鎮圧のためですけれども、それを見て、これ以上は黙っていられないと思い、3月中旬から『ミヤネ屋』『ひるおび!』『news23』、あるいはネットテレビの『国際政治チャンネル』、『NHKワールド』などに出演させていただき、ミャンマーの状況をお話ししました。
今、ミャンマーは国軍とは異なる組織、アメリカやヨーロッパが支援しているNUG:国民統一政府といわれるオンライン上の民主派の政府があります。組織のトップにはアウン・サン・スー・チーさん、そして一部は逮捕・拘束されていますが、NLDという民主派の議員たちが閣僚を務めたりしています。
今、私は日本ミャンマー友好協会の副会長ですが、私どもは恐らく日本の中では一民主派NUGとつながりを持っています。このNUGをこれから色々サポートしなければいけない。そして今、困窮している国民が大勢いて、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると100万人近くの避難民がいるといいます。
「ユニバーサル野球が描くインクルーシブな未来」 (引地 達也)
「打ちました! 2ベースヒット、2点です!」「残念! アウトです!」。
実況する声がグランド上に響く。その度にベンチに陣取った両軍の「選手」たちが歓声を上げる。そして次に打席に立つ選手に声援を送る―。
桜満開でも花冷えがする栃木県真岡市の勝瓜サッカー場で行われたのは、誰にでも楽しめるユニバーサル野球だ。約3メートル四方の野球盤はバネで固定されたバットの留め具をひもで引っ張ることで打つことができるから、微細な力でも選手として打席に立ち、打つことができる仕組みである。
ベンチの歓声を盛り上げる実況と打席に立つ選手の名前を伝えるアナウンスが響く。両軍に分かれて陣取るのは、障がいのある18歳までの児童生徒が通所する放課後デイサービス「こどもサークル」の利用者とその保護者たち。回転盤に置かれたソフトボール大のボールをじっくりと見てタイミングをはかりながら、打撃する子どもたちだが、打った瞬間に歓声が上がるものの、なかなかヒットゾーンには飛ばず、歓声はため息に変わる。ヒットの際の歓声はひときわ盛り上がる仕掛けでもあるようだ。
「風雲急⁈ 対中包囲網」(真田幸光)
第4回 「稼ぐ力」を得る感謝話法の活用 澤田 良雄
「感謝の心」を話に生かす
第4回 「稼ぐ力」を得る感謝話法の活用
◆生涯現役で活躍する決め手を持つ
人生100年時代、いかに生涯現役で活躍する自身を育て上げるかが問われています。それには二つの決め手を磨き上げ「稼ぐ力」とすることです。
その一つは専門力です。これには、専門知識、技術(匠の技、多能性、独自性、応用性)、開発力(経験を生かした改善・改革、創造性、破壊と創造、挑戦と継続による結実)という要素があります。さらに仕事以外の特技も加わってきます。いわば、自身の売りもの、「稼げる力」です。
もう一つは人間力です。これには、人間味(感受性、包容力、謙虚さ、人望)、協力をとりつける掌握力(信頼性、適切な評価、感謝心)、指導力(是々非々の育成・感化力)、人徳(利他の施し、倫理的実践観)という要素があります。
この2つの軸を持った人は「憧れの人」であり、現在でも将来でも頼られる人として、存在感があります。
第3回「連続増配企業に注目」千葉 明(2022.6月)
SPK(7466)。自動車(exクラッチ・ブレーキ・電装品など)向けを主軸に、建機・工機などの補修用部品を取り扱う専門商社。前3月期まで「実質23年の連続増配」を続けている。が、地味な企業でもある。IFIS目標平均株価の算出対象にもなっていない。本稿作成中の時価の予想PBR0・67倍。が、過去10年間の株価動向は株式分割等を勘案した修正値(以下、同じ)でパフォーマンスは2倍強。
周知の通り、連続増配企業1位は32期の花王(4452)。SPKは、花王に次ぐ第2位の長期連続増配企業なのである。
23年連続の増配は、そう容易にできることではない。改めて調べてみた。
2021年3月期は、「4・5%の減収、5・1%の営業増益、(20年4月1日付けの1:2株式分割を勘案すると)実質4円増配74円配」。今3月期も「9・1%増収(457億円)、2・7%営業増益(21億円)、実質80円配」計画で立ち上がった。そして開示済みの第3四半期の通期計画に対する進捗率は77%弱、71%と上々。
設立は1917年。伊藤忠商事の機械部から独立し、外国車及び外国車部品の販売商社として産声を上げた。2017年には百周年の節を超えている。が今の業界を考えると主力は「自動車関連」。新型コロナウイルス禍&経済状況と、無縁ではなかったはず。
【講演録】河野太郎氏「日本のこれからの進む道」
■清話会セミナー 2022年4月25日(月)
「日本のこれからの進む道」
—-新型コロナ後の外交、防衛、経済
河野 太郎(衆議院議員、元外務大臣・防衛大臣)
1963年神奈川県平塚市生まれ。96年第41回衆議院議員総選挙で神奈川県15区初当選以来連続当選。17年外務大臣、19年防衛大臣、20年国務大臣、行政改革担当、国家公務員制度担当、内閣府特命担当大臣、21年新型コロナウイルス感染症ワクチン接種推進担当大臣。昨年10月より自由民主党広報本部長。
■露軍のウクライナ侵略に対し
日本は国際社会にしっかり
歩調を合わせないといけない
ロシアによるウクライナの侵略が起きて、世の中の色々なものがガラッと変わった気がします。
昨年12月、アメリカ政府が商用衛星から撮った写真を見せて、ウクライナとの国境にロシア軍が集結している、と発表しました。21世紀に、戦車を集めていきなり隣の国になだれ込んで侵略するとは思っていませんでしたので、アメリカはこれは危ない、と言うのですが、それはたまたま集めて威嚇しているのだろう、という程度の認識でしたし、あの時はむしろウクライナ側が「これは大したことではありません。ロシアはしょっちゅう軍時演習をやるから」みたいなことを言っていたように思います。
軍事衛星や商用衛星から見えないものがあります。プーチンさんの頭の中です。が、しばらく前までアメリカは見ていたのだと思います。私の全くの個人的な推測ですが、クレムリンの中に誰かいて、恐らくかなり近しい人からアメリカは情報を取っていたのではないか。ただ、ウクライナが核兵器開発や化学兵器を準備しているとプーチンがフェイクニュースで流してロシア軍がウクライナに侵略し、世界平和のために止めたのだ、などと言い出すとややこしい、とアメリカは思ったのでしょう。だから最初からプーチンがウクライナを侵略する、という情報戦を仕掛けて、結果としてプーチンはフェイクニュースを流すことができずに、そのままロシア軍がなだれ込んだということかと思います。
ちょっと前、『ニューヨークタイムズ』にロシアの情報機関の内部レポみたいなものが流出して記事になりました。かつてのKGB、今のFSBの内部情報でウクライナに関する情報を挙げろと、プーチンから指示が来たので、FSB上層部はとにかくプーチンの聞きたいように忖度をしたレポートを上げました。結果、プーチンは軍を突っ込み、ゼレンスキー政権は3日で崩壊して傀儡政権を打ち立てて、その政権がウクライナの安全保障のためにぜひロシア軍に駐留して欲しいと言わせてロシア軍がそのまま居座るというシナリオを描いて送り出したら、勇敢なウクライナ国民が抵抗して、2ヶ月経っても一向に目途が立たない。侵略したロシア軍のほうは相当な死者を出して、恐らくアメリカがアフガニスタンで20年の間で受けた被害ぐらいの死者をこの1、2ヶ月でロシア軍は出している、という惨憺たる状況になっているのではないか、と思います。
ロシアがウクライナに侵略をして当初は経済制裁を色々されたけれども、状況がだんだん長引いたら世の中的には仕方がない、ということになるのではないかと期待をしているのが恐らく中国共産党の指導部です。2014年にクリミアをロシアが取ったけれども何となくその後、既成事実化した、台湾もああいう風にできるだろうと思ったらどうも今回は国際社会の反応が違う。
2014年の時は、日本もかなり甘いと言われましたが、日本は北方領土問題もあるから独自の立場を色々と言い訳をしていました。が、もう今回はそんなことを言っていられません。国際社会と足並みを揃えてやろうという状況を中国共産党の指導部が見ていて、台湾再統一はコスト的にすり合うのか、それともちょっとやめておいたほうがいいのかと、今色々と推し測っている状況なのだろうと思います。
ここはもう日本としてもやれるところは精一杯きっちりやるという状況を作っていかなければならないだろうと思います。一時はこの経済制裁でルーブル暴落がありましたが、結局ヨーロッパがやはり天然ガスを買わざるを得ないということで、またルーブルが元に戻ってきており、むしろ円のほうが安くなる、そんな残念な状況になっています。
日本の電力の約5%がロシアの天然ガスと石炭に依存しているわけですから、ベルト2つぐらい締めてロシアのエネルギー資源には依存しないと言って頑張る、という選択肢はあるのだろうと思います。ドイツ、フランス、イタリアもすぐに全部やめろというと干上がってしまうかも知れません。けれども、とにかく今年末までにロシアへの依存を30%まで落とそうとか、協議をしてやっているわけですから、日本もしっかり足並みを揃えて中国共産党にしっかりとしたメッセージを送らなければいけないと思います。
小型歯車加工機1本に特化した特異な工作機械メーカー:北井産業㈱
【講演録】「ロシア・ウクライナ侵攻から見る“日本の外交と防衛”」(松川るい)
清話会セミナー 2022年4月2日(土)大阪
「ロシア・ウクライナ侵攻から見る“日本の外交と防衛”」
—-危機せまるアジア外交を考える
松川るい 参議院議員
1971年生まれ。東京大学法学部卒、外務省入省。米国ジョージタウン大学国際関係論大学院修士号取得。在韓大参事官、日中韓協力事務局次長(ソウル)で活躍後、2014年総合外交政策局女性参画室長(初代)として国際女性会議(WAW)を立ち上げた。16年2月退官、7月参議院選挙において当選。
■今のウクライナを見て思う
「祖国を守りたい気持ち」
今は時代を画する歴史の転換期、危機の時代、このままじゃいけない時代が来た、それを日常レベルで感じる時代のただ中にいるのではないかと思います。
私は前回2016年7月の参議院選挙で初めて政治の世界に挑戦をさせていただきました。その前は23年間、外交官僚として国益のために働いてきました。1989年11月、ベルリンの壁が崩壊しました。その時と同じような変化の時代に来ているという気がしています。
私はまだ政治家として一期目ですが、多くの討論番組に呼んでいただいています。先日『日曜プライム』という地上波の討論番組に初めて出演させていただきました。
ウクライナの惨状を皆さん毎日見ていると思います。マリウポリがほとんど全壊するような攻撃です。子供がいる、とわざわざ書いているのに、戦意を喪失させるためでしょうけども、わざわざ殊更にそこを攻撃する。ほぼ戦争犯罪です。
番組で橋下徹さんが、とっとと白旗を上げて政治的妥協をすればいいではないか、と言いました。ロシアが要求しているいくつかのことがあります。中立化、非武装化、ゼレンスキーさんがいなくなって親露派の政権に変える、そして東部ドネツク、ルガンスク州を独立させる。これを全部飲めば、確かに戦争は終わります。でも私はすごく違和感を感じました。橋下さんや玉川徹さんが言っているように、どこかの時点でリーダーは、この戦争をどう手仕舞いするかを、自国の国土や国民への被害を考えて妥協するべき時はあると思います。それはプーチンさんも同じです。決してロシアはうまくいってないです。けれども、被害が出たら即白旗を揚げればいい、というのは違うと思います。
【講演録】「モノの価格はこのまま上り続けるのか」(藻谷俊介)
清話会リモートセミナー 2022.3.29(火)
「モノの価格はこのまま上り続けるのか」
—-ウクライナ侵攻を受けての展開
藻谷 俊介 (株)スフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役
1985年東京大学教養学部卒業。90年米国ハーバード大学ビジネス・スクール卒業(経営学修士課程)。85年住友銀行入行、92-96年ドイツ銀証券会社でシニア・エコノミストとして日本のマクロ経済分析・市場動向分析を専任担当。96年スフィンクス・インベストメント・リサーチ設立。
■物価は上がり続けるもの、
日本の物価は世界でも例外的
「モノの価格はこのまま上り続けるのか」という問いに端的に回答するならば、「物価は上がり続けるものである」ということになります。消費者物価指数(CPI)という指数が日本を初めとして、アメリカ、ロシア、中国などの世界各国で算出されています。各国のCPIを比べてみると、それぞれに違いがあり各国に個性があるとわかります。そして各国のCPIをGDPウエイトで一本の線にまとめていくことにより、特定地域に偏らない世界全体のインフレ率が見えてきます。
その主要17カ国のCPIを合算すると世界の約7割を占めると言われています。それらを足し合わせたものを見ると物価指数はずっと右肩上がりであり、例外的にリーマンショックやコロナの第一波のときに少し下がっているだけです。
このようにグローバル的に大きな影響があるような現象が起こったときは短期的なデフレが起こりますが基本的に物価は上昇し続けるものです。2010年と2020年の世界のCPI を比べた時、約10年間で物価が約1・4倍上昇していることが確認できます。それぐらいが世界の標準的なインフレということになります。さらに最近のインフレ率を見てみると約5・1%となっていて、ますますインフレが加速してくことがうかがえます。その場合およそ10年で1・6倍ほどの伸び率になってくると予想されます。
【講演録】「北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実」(濱田浩一郎)
「北条義時 鎌倉幕府を乗っ取った武将の真実」
—「武士の世」の始まりを決定づけた人物の実像とは
濱田 浩一郎 はまだこういちろう(歴史家、作家、評論家)
1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。姫路日ノ本短期大学、姫路獨協大学で非常勤講師を務めた後、現在は主に著述やメディア出演で活動。著書『播磨赤松一族』『小説アドルフ・ヒトラー』全3巻など多数。
■北条義時は「待つ人」
「何もしない人」だったのか
今年の大河ドラマは『鎌倉殿の13人』です。ドラマの主人公、北条義時とは一体どういう人物だったのか。
承久の乱(1221年)を描いた「承久記絵巻」という絵巻物があります。江戸時代に作られたものですが、そこに義時の顔が描かれています。口ひげを生やして、顔は少しふっくらしているように見えます。目は細めでしょうか。
現代の歴史家は、義時の性格を一般的に「待つ人」「何もしない人」と評価しています。私はその評価には反対ですが、なぜ義時がそのような評価を受けているのか。
義時の性格を見る上でよく使われるのが、鎌倉時代後期に編纂された歴史書『吾妻鏡』です。これは北条氏の政権下において編纂された書物ですので、北条氏を美化礼賛するような文章も見えて取扱い注意な面もありますが、歴史家からは重宝されています。
商社マンが創り上げた新しいものづくり稼業―天昇電気工業㈱
リクルート事件(下)(三沢明彦)
忌まわしい事件の記憶を背負いながらも、「リクルート出身」と胸を張る経営者、起業家が多いことに驚かされる。創業者の江副浩正とは何者なのか。時代を駆け抜けた起業の天才、古い秩序に挑む創造的破壊者、政治家、役人などに値上がり確実な未公開株を譲渡した犯罪者…。その評価は分かれるにしても、彼が撒いた種が荒れ地から芽を出しつつあることは確かだ。
「社員皆経営主義という企業哲学を持っていました。それは『あなたはどう考えるか』という問いから始まり…」。武蔵大学名誉教授、三菱地所社外取締役、江上節子の巻頭談話(「日経ビジネス」2月21日号)に目が留まった。女性向け転職情報誌「とらばーゆ」編集長だった彼女の記憶に残る江副は、東京地検特捜部が供述調書に描いた人物像とは異なり、社員の独創性を引き出す経営者である。