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【戦うための武器を創る固有技術 全4回】-②「顧客の“不”を解消するサービスを固有技術で開発」

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (48)
【戦うための武器を創る固有技術 全4回】
第2回目「顧客の“不”を解消するサービスを固有技術で開発」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■活かす土俵

固有技術なくして固定客なし、固定客なくして販売なし、販売なくして経営なし。

固有技術があるから同業他社と違うサービスができ、その固有技術の数が多いほど、決算書に記載されない会社・部門固有の見えない資産がノウハウとしてストックされる。

付加価値の高い会社はそれを活かす土俵を見つけ出し、その土俵に見合う製品化・商品化にチャレンジすることに長けている。

■介護サービスを固有技術に

福岡県に介護サービスを固有技術として成長しているタクシー会社がある。この会社は介護士の2級のドライバーを育成している。介護士2級のドライバーを育成することで在宅介護が必要な方に移送サービスで展開できる。在宅介護が必要な方にタクシーに乗っていただき、買い物に行く、ちょっと所用を済ませることが介護士2級のタクシードライバーで可能になる。

発端は、このタクシー会社の乗務員のお母さんが介護が必要になった。そこでご自身で介護士2級を取られた。その話を同じ会社の乗務員仲間にすると、「それはいいな」ということで何人かが介護士の2級にチャレンジをされ、資格を取られた。

最初に取られた方は自分のお母さんに移送サービスをされていた。それが噂になり、聞き付けた方が、「うちも必要だからやっていただけないでしょうか」とご依頼がけっこう来るようになった。

タクシー会社の経営で考えると非常に理にかなったやり方で、介護を必要とされる方にとっても、自分の所用を助けて色々な所に連れて行ってもらえるのは、非常に有難い話。しかも一回お願いして、安心感があると他の会社をご指名することはないし、ドライバーさんはご指名の固定客ができる。

■専門技術を固有技術に

東北にある肥料販売会社の事例。

東北地方のある米作の盛んな地域で、農家の方々に肥料を販売している会社。この会社は単に肥料を販売するだけではJAに負けるので、米をつくる専門のプロ集団をつくろうと考えた。

米作農家の大半は兼業農家で、昼間は地元の会社に働き、農作業をやるのは土日になる。逆転の発想でみると月曜日から金曜日までは米作を放り離し状態にしている。

この会社のポイントは、月曜日から金曜日にお客さんの田をずっと見て歩いていき、お客さんの田の番人をやっている。そして、「田中さんのこの田んぼは何月何日にこの肥料を幾らまかないといけませんよ」と具体的なアドバイスをしている。

このアドバイスができるのは、社員も自ら米を作る農業を営んでおり、冬季には米作りの最新技術を大学に学びにも行っているからだ。米をつくる技術に関しては専門的なノウハウを持っており、その上で自分の田の状況を押えてくれるから安心である。

このような背景もあり、お客様から米の番人さんとして信頼関係を構築している。このレベルになるとこの会社しかできない固有技術になる。

今、この会社がチャレンジしているのは、お客さんの中でもいい米をつくる農家と直接契約をし、米を買い付けて、首都圏で販売している。

どこの会社にも必ず固有技術はある。それを見つめ直し、どういう展開ができるかを最確認することが大切だ。

 

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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