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【社長の心 全4回】 -②「社長の孤独感を取り除け!」(小池浩二)

小池浩二氏の [継栄の軸足] シリーズ (53)
【社長の心 全4回】
第2回目「社長の孤独感を取り除け!」

小池浩二氏(マイスター・コンサルタンツ(株)代表取締役)

■腹八分・口四分

健康維持のためには腹八分が良いとされている。経営者は社内において言いたいことはたくさんあるが、口四分で止めていることが多いのではないだろうか? 

経営者は「白か黒か」はっきりさせなければならないので、言いたいことがあっても最後の一線を越えることができない点が現実には山ほどある。

例えば、あるA社の社長は食肉関係の業務を創業以来40年頑張っている。創業して以来、社長の悩みは人の定着にあった。業種柄、肉体的に大変で、休みも少なく、待遇もそんなによくできず、万年人の出入りが激しい状態が続いた。

社員がいい加減なことをしても「社長は厳しく注意しなくてはと心では思うが、頭の中では厳しき注意すると辞めてしまう」と思うと注意もできない状況が続いた。そうすると小賢しい一部の社員は社長の痛い点を突いていい加減なことをやる社員が出てくる。悪循環の繰り返しである。

第三者から見ると厳しく注意すべきと思うのだが、辞められると仕事が止まってしまう、人が来てくれるだろうかと不安がよぎり、踏み切れない。どの経営者も似たり寄ったりのことは経験されている。

腹は十分満たすより少な目が良いが、口は十分満たしていかないとストレスが溜まる。

口四分で伝える内容・メッセージをよく理解してもらいたい。そうしないと経営者が細かく噛み砕いて説明していくことになり、経営者の生気が萎えてくる。

経営者は年齢が55歳以上で経営者歴が25年を越えると「やる気・根気」が段々薄れて来ることをご存知だろうか!
皆さんの経営者は何歳で経営者歴は何年だろうか?

■経営者の孤独感を気に留めよう

経営者は孤独である。これは組織のトップの宿命である。しかし、同じ組織で働く役員・幹部の皆さんは経営者が抱く孤独感を和らげることはできる。

例えば、社長が主力得意先に行く、銀行に行く等何かの問題解決で動く時にその結果について「どうでしたか……」と気を配ることはできるはずである。

経営者が重要な問題解決で動き、その結果を社内の誰もが気に留めなければ社長の孤独感は増長する。これは常識で、自分をその立場で考えればわかるはずである。経営者だから大丈夫だろうという問題ではなく、気を配れる組織は「人間集団のレベル」が高く、お客様からの評価も高いはずである。

■社長をやる気にさせよう

社長がやる気になることは会社にとって一番ソロバンが合うことである。会社、特に中小企業は経営者次第で会社の業績・内容が決定される。

社長をやる気にする方法は定量的側面(業績向上等の数値面)は勿論であるが、それと同じように定性的側面がある。この側面から社長をやる気にさせる方法は、
① 社員がお客様から褒められる
② 社員の頑張っている姿を見て
③ 社員の成長を見て
④ 社員が会社の将来を前向きに語るとき
⑤ 社長自身の信念・ビジョンの再認識
等である。

中小企業の社長は粘り強く・根気がある。しかし長年経営者をやると「やる気」は萎えてくる。そこに刺激が加わると経営者の経営者魂に火がつき再び「やる気の権化」になる。その刺激が定性的な側面である。

経営者に褒められるために仕事をする訳ではない。しかし、役員・部門長の方は
①自分のためのみ、②家族のためのみ、③チームのためのみ、に仕事することから脱皮し、「会社のためにも」働くという発想が必要である。
これがプロ社員である。

■社長をこき使え

会社におけるエース人財は社長である。
戦略の原則は「勝てる場所で、勝てるときに、勝てる人で、勝てるだけ勝つこと」である。

勝てる人=エース人財=社長であるので、どんどん活用しよう。上司は上使であり、下から使われない上司は魅力がないか・期待されていないかのどちらかである。

社長を使うとは、
① 得意先に同行してもらう
② 会社のわからないことを聞く(理念・ビジョン・企業観・人生観・歴史等)
③ 社内勉強会の講師になってもらう
等、色々な活用方法がある。

社長は前向きな時間・費用の投資には積極的である。例えば社員が「勉強したいのでこの本を購入したい」とか、この研修に行かせてくれ」とか提案したら多くの経営者は心の中で涙を流し、喜ぶのではないだろうか。

これが中小企業の経営者である。社長の持つ長年の経験、幅広い情報を活用することは「社長の時間を買うこと」と同じ意味であり、その擬似体験が自分たちの財産になる。

社長が根をあげるぐらい社長を活用しよう!

 

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筆者 小池浩二氏が【中小企業に必要な経営の技術】の概論を動画で説明しています。

こちらからどうぞ → http://bit.ly/2NFrWHm

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