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【特別寄稿】進む世界各国のデジタル通貨の流れ (増田辰弘)
- デジタル通貨導入のカンボジア的事情
カンボジア中銀(国立銀行)が2020年10月28日より世界で始めてのデジタル通貨「バコン」を発行した。これはデジタル通貨によるカンボジア国内のリテール決済及び銀行間決済の基幹システムを整備したものである。
そしてもう一つ加えたいのは、あまり知られてはいないがこのデジタル通貨「バコン」のシステムを整備したのが日本のIT企業ソラミツ㈱(本社・東京都渋谷区、宮沢和正社長)なのである。同社はこれもあまり知られてはいないがブロックチェーン(分散型台帳)技術では、インテル、IBMなどと並び世界トップレベルの会社である。世界で始めてのデジタル通貨に日本企業が噛んでいることの意味は限りなく大きい。
まずカンボジア中銀が世界で始めてデジタル通貨を導入することになった事情であるが、これにはかなりカンボジア的事情がある。カンボジアは基本的に市場で流通する紙幣の8割はドルで現地通貨リエルは街の屋台や小さな店で使う補助通貨に過ぎず、普通の支払いは米ドルである。これまではカンボジアに投資する外国企業のリスクを回避させ効率的であったが、カンボジア経済が発展するに従いこれはなんとかしなければならないというカンボジアの事情があった。
もうひとつは現在中国政府が人民元のデジタル通貨導入を強力に進めている。今上海や青島などの主要11都市に地域を限定してモデル実験中であり、予定通り進むとその後法整備を整え2022年から本格導入する。もうこれ以上のカンボジア経済の人民元経済化は防がねばならい。すなわちドルと元の挟み撃ち、このカンボジアにはこの2つの切実な事情が背景にあった。